第150話 貴族と魔族を解放する男

商人や、船乗りさんと冒険者さんに別れを告げて、


町を出ようとするが、ベールの街に魔族は入れないので港の端を間借りして、ゴンドラをアイテムボックスのウッドブロックを使って作ろうとするが、


その前に、


敵意むき出しの皆さんとお話合いが先かな?


片腕の騎士さんが、


「お前は誰だ?

我らをどうするつもりだ!?」


と吠える、


家族も魔族も俺を睨む…


〈やめてよ、心が病んじゃう…〉


俺は、グッと我慢しながら


「俺は、ロッカ侯爵とやらが目の敵にしている、セントラル王国の元子爵で、


今は、魔族を使って異世界から無理やり流れ人の魂を召喚してるヤツをシバく為に飛び回っている者です。


どうするつもりも特に無いけど、悪事の〈証人として〉と…


あとは、魔の森に街を作ってるから、


〈ウチの街に住みません?〉


追っ手から隠れるにはもってこいですよ。


えー、他に質問は?」


と説明したのだが、全員キョトンとしている。


〈ド・リール〉母が、


「私どもは、帝国領北部の火山地帯にあります〈エトナ王国〉の小領の領主だったリール伯爵家の者です。


私は領主、〈ビック・ド・リール〉の妻の〈エラ・ド・リール〉と申します。」


と自己紹介してくれたので、


「これは、ご丁寧に、

俺は、流れ人と云われる異世界人の


ユウ・ツチヤだ。


ヨロシク、エラさん」


と応えた。


エラさんは、


息子の〈アース〉君

娘の〈アナ〉ちゃん


メイドの〈ネネ〉さん

元騎士団長の〈ケルト〉さん

元騎士の〈マギー〉さん


の紹介をしてくれたのだが…


アースドリルに、穴ドリル


…わざとか?わざとなのか?


どうでもいい事に引っ掛かっていると、


オズオズと魔族の娘さんが、


「あのー、私たちは…?」


と聞いて来るので、


俺が、


「俺の街の子供として皆で頑張って、勉強してお仕事して、

そこそこ幸せに成って欲しいくらいです。」


と話すと、


魔族の娘さんは、


「えっ、私達は魔族ですけど…?」


と唖然としているので、俺が、


「えっ、俺なんか異世界人ですけど?」


というと、魔族の子供たちがクスクス笑っている。


それを横目に見ながら、


「ウチ街は頑張る子は、〈誰でも〉楽しく、幸せに暮らして欲しいかな?


それに、奴隷紋は有るけど、結構自由に楽しんでる魔族の兄弟のアドラとメレクが居るから安心して。」


と俺がいうと、


魔族の子供の一人が、


「アドラが居るの!?メレクも?」


と、聞いてくる。


「お嬢ちゃんはアドラとメレクを知ってるの?」


と質問すると、


「わらわ…わたしのお家のお馬さん係のお兄ちゃんだよ。」


と話してくれた。


〈アドラ達のご主人様の娘かな?〉


スーパー名札眼鏡には、〈フィアラ・ベルドナ・マリア・ホワイト〉


と、長い名前が出ている。


俺は、アイテムボックスから紙とペンをだして、


『フィアラ・ベルドナ・マリア・ホワイトちゃんと、十二名の人を保護しました。


住むとこヨロシク!』


と書いから、


ビシッっと地面を指差して、


「来い!ベアえもん。」


と、格好をつける。


〈ふっ、決まった…〉


と思っていたら、


ドリル一家は「ベアえもんって…」


と半笑いだし、


魔族ちゃん達は、「熊さんだぁ!」


と騒いでいる。


〈格好をつけたつもりだか…不発だった…やはりブルーじゃないと駄目なのか?〉


魔族ちゃん達にモフモフされて嬉しそうなベアえもんが、


〈ご主人様、なんか用?〉


と聞いてきたから。


手紙を渡して、


「アドラかメレクに、この手紙を渡して。」


と頼み、子供達を離れさせてから、


ベアえもんを送喚した。



俺は、


「はい、これで皆さんの住む場所が準備出来ましたので、街まで移動します。」


と宣言したが、


皆がザワザワしている。


ケルトさんが、


「ユウ殿、どうやってこの人数を北の果ての魔の森まで?」


と聞いてきた。


「あっ、忘れてた。


今から乗り物を作りますので、おにぎりとスープで悪いんだけど、皆で食べて待ってて下さい。」


と言って、アイテムボックスからお弁当セットにしていた〈おにぎり〉と〈スープ鍋〉と食器類を取り出すと、


気を利かせて〈ネネ〉さんが配ってくれているのでお任せした。



俺は、アイテムボックスから魔石ランドセルとウッドブロックを大量にだして、


ゴンドラを2つ作り、


一つはアイテムボックスから出して、


計3つ用意した。


1つ目はドリル家族とメイドさん


2つ目は魔族チーム


3つ目は俺と騎士達


が乗り込み、


〈サン〉・〈パパン〉・〈テオ〉を召喚して、


一旦ブルー達と合流する為に北の山を目指した。


子供達には辛いかもしれないが、寒さ避けに各ゴンドラに布や水分補給の為に水袋を渡してあるから何とかなるだろう。

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