第146話 弟子の性癖を心配する男

俺は、このギルドマスターだけ全てバラす事にした。


マットから聞いた〈松下竜司〉という人間がかいまみえたが、


大分、もがき苦しんでいたみたいだ。


第13研究所の仕事はあまり喜んで無かったらしく、


むしろ嫌がって渋々やっていたのだとか、


〈弱みでも握られていたのだろうか…〉


何であれ〈松下〉絡みは、第13研究所が元凶らしい…



〈マット〉に〈ダイト〉さんの前意外では飲酒の禁止を約束させて、今回の罰とした。


マットが退室した後で、ギルドマスターと二人に成ったので、手袋を脱いで指輪をはずし、元の姿になると、


ギルドマスターの〈ダイト〉さんは、一瞬眉を動かしたが、


すぐに落ち着いて俺の話を聞いてくれた。


・俺が流れ人の件

・仇の松下竜司の件

・無理やり異世界召喚をやっている連中が居ること


を話すと、


ダイトさんは、


「多分全部〈第13研究所〉に結びつくと思うぞ、


見馴れない武器、魔族での人体実験…


いい噂は何一つ聞かない所だ。


最近では錬金ギルドから〈エクストラポーション〉を第13研究所が買い占めてしまったのも何か気になる。」


と話していた。


ダイトさんは〈認識阻害の指輪〉を摘まんで眺めながら、


「多分、冒険者〈リュウジ〉は、

この指輪を無くしたので、この街ので活動出来なく成ってしまったから、他の街に行ったのだろう…


多分、他の指輪では見た目が変わってるだろうから見つけるのは難しいそうだな。」


と、ため息をつく…ダイトさんは、〈パン〉と膝を叩いて、


「第13研究所の件は俺に任せてくれないか?


コイツは帝国全体の一大事になりかねない…俺達にも関係のある問題だ。」


と頭を下げるダイトさんに、


「情報ギルドにも動いてもらっていますがそれでもいいですか?」


と俺が言うと、


ダイトさんは、


「こりゃあ願ってもない、実は情報ギルドは帝都にしか無くて、〈トース〉の野郎に調査を依頼する予定だったんだが、手間が省けた。」


と笑った。


俺が、


「ダイトさんは情報ギルドマスターの〈トース〉さんと知り合いだったんですか?」


と聞くと、


ダイトさんは恥ずかしいそうに、


「同じ女を好きになって取り合った仲だよ。」


と言っていた。



餅は餅屋と云うし、あの街の事はあの街の住人のダイトさんに任せて、


俺は一路、拠点に戻る事にした。


インテルの街の外でサンを召喚して、西の方角を目指して飛ぶこと三週間足らず、拠点の上空に戻って来たのだが…


住所合ってますか?


たった2ヶ月で区画整理と道の舗装が完了していた。


元の拠点から北に向かって〈囲の字〉の様に9つのマスに区切った、広い空間が有った。壁はまだ工事中だったが、マヨネーズの街より大きく、


〈何処が千人規模の街なのか…〉


親方達は魔の森に〈国〉を作る勢いだ。


親方の弟子が自前の〈人工ゴーレムコア〉を使って山から土を採ってアイテムボックスにしまっては街の中心地を埋め立てていた。


親方達に街の工事は任せて拠点に降り立つと、


アドラとメレクがお風呂小屋の前で心配そうに中の様子を伺っている。


「ただいま、何してるの?」


と挨拶をする俺に、


メレクは


「お帰りなさいませ、ご主人様」


と頭を下げるが、


アドラは、〈しー〉っと唇に人差し指を当てた後で、俺を風呂小屋の近くに招いた。


すると、風呂からブルーの声が聞こえ、


「ヤングの兄貴、マーズの兄貴も…

僕、こんなの初めてだから痛くしないで下さい…」


と言っている。


〈?こんなの初めて?〉


と考えていると、ヤングさんの声で、


「心配性だな、痛いのは最初だけで、すぐに体が馴れるから」


と言って、何か〈ネッチョ、ネッチョ!〉と音もする。


マーズさんは、


「どうしても、〈お尻〉が痛かったらポーションをかけてあげるから…」


と…


!えっ、えぇ!!


二つの意味で、してるの?


なんかドキドキしながら、聞き耳をたてる俺だが、


かといって、弟子の趣味も否定出来ずにやきもきしている間も、


〈ネッチョ、ネッチョ。〉と音が響き、


ヤングさんの


「こっちは準備出来たぜ。」


と聞こえると、


決意した様にブルーが、


「怖いから一気にお願いします。」


と告げる。


マーズさんの


「少し濡らしますよ。」


という声が聞こえ、水音が響いた。


そして、ブルーの


「くぅはぁぁぁぁ!」


という切ない叫びと、ナニかを打ち付ける様な〈ぱん、ぱん〉という音が!


ヤングさんが、


「もう少しだから我慢しろ!


こら、動くな!


マーズ、少し押さえてくれ!」


と言っている。


〈二人にがかりで、いくら男ばかりだとはいえ…それは駄目だ!!〉


俺はたまらず風呂小屋に突入すると、


下半身裸のブルーと、


それを押さえるマーズさんに、短冊ぐらいの大きさの布を両手に持ったヤングさん…


は、二人とも服をきていた…?


〈どういった状況?〉


三人は俺の登場に驚いていたが、


俺は、三人以上に驚いた自信がある!



そして、理由を聞けば、


聞くも涙、語るも涙の深い訳が有った。


三人で、狩りの遠征に出掛けて、沢山の魔石と素材を手に入れて、仲良く三人揃って〈C級〉に成れたので、


お祝いとばかりに、ヤングさんとマーズさんはブルーにアダルティーな宿屋をオゴったらしい。


しかし、ブルーは、〈嬢に〉お尻のヘヤーを笑われて、新たなトラウマを作っただけで、上も下も〈ショボン〉となって何も出来なかった事件が有ったらしい。


そして、そんな可哀想なブルーに責任を感じた二人が、ブルーを男にするべく、


森で捕まえたスライムでスライムトリモチを作り


短冊状にした布に塗り、


お尻に湿布の様に張り、


水をかけ、硬化させて、


一気に、〈ベリッ〉っと引き剥がして、ブルーの〈裏山の渓谷の伐採〉という名の脱毛を行い、


あまりの毛量から激痛に襲われ床を叩き暴れるブルー、


押さえるマーズ、


引き剥がすヤング、


飛び込む俺!


で、今に至る。


……俺のドキドキを返して欲しい。


ツルツルになったお尻にご満悦なブルーが、


「師匠、見てくださいスッキリさっぱりです。」


と見せてくる。


〈いいからパンツ履けっ!〉



そして、三人はドラグーンとペガサスに、乗って南の空に消えて行ったのだった…


旧乙女会メンバーに匿名で手紙を出して

さっきのヤツを特別に薄い本にしてやろうか?!


アンナちゃん辺りがノリノリで書いてくれるよきっと…

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