第113話 スキルを買い漁る男
人員補強の目処がついた。
嬉し事に募集をかけたら、
かなりの数が他領から応募してもらい。
二十名の騎士団が出来上がった。
俺は、彼らにドラグーン子爵家独自の部隊を作って欲しいと考えている。
テイマースキル
アイテムボックス
のスキル持ちで、ワイバーンに乗る〈ワイバーンナイト〉部隊だ。
なぜ、〈ワイバーンナイト〉かというと、
実は、ワイバーンの〈サブロー〉〈シロー〉はカップリングからあぶれてしまい。
〈住み処まで、ご案内しますのでメスを仲間にして下さい、ご主人様〉
とワイバーンの二匹から頼まれて、
俺とサラは工房で〈ユキさん〉達にサブローとシローの〈安全ベルト付きの鞍〉を作ってもらい。
サンダーに乗るブルーと一緒に、
空飛ぶ師弟パーティーとして、ワイバーンの追加の旅に出たのだが。
思いの外乗り心地が良く、小回りもきく高性能な乗り物だった。
〈これならば騎士団に飛行部隊が作れる!〉
と感じたからだ。
新たに十匹のワイバーンを仲間にして街に帰った…
ワイバーンは、カップリングし産卵したならば、交代で卵を温めるのだが、
それでは、騎士団の従魔として飛行部隊を作る予定が狂う。
〈イチロー〉達に相談したら。
〈安全な場所を用意してくれて、卵を温めているメスに食事を与えてくれるのであれば、オスは騎士団のパートナーとして働きます。〉
と言ってくれたので、
マヨネーズの街の外壁の更に外側に従魔パークを作り壁で囲み、
その隣に騎士団の本部と訓練所を作ることになった。
学研都市の大型工事がおわり、上の建物の工事のみなので、数名の親方と二級土木魔法師の職人さんに後を任せて、残りの親方衆にパークと騎士団エリアの建設を頼んだ。
あとは、スキルを我が町で複製出来れば問題なしだ…
しかし、欲しいスキルが多すぎる。
〈テイマーと従魔召喚〉は絶対欲しい。
〈アイテムボックス〉も必要だ。
魔法全般はオリジナルも欲しい。
フィジカルも必要だし…
とりあえず買い出しにでよう!
となり、王都のスキルショップに文字通り飛んで来たのだが、街までは数日で着けるが、街中を飛び回る訳にはいかずに、街の手前で降りて歩く事になるのが面倒臭い。
三人でスキルショップまで歩いて到着した俺達を店長さんが笑顔で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ、子爵様。
我が弟子はマヨネーズの街でお役に立っておりますでしょうか?」
と聞いてきたので、
「連れてきた複製師たちが、オリジナルを所有して無かったので、難儀しております。
なぜオリジナルをある程度国で買い上げて複製師の共通財産として、
使用した分だけ後払いで〈使用料〉を納めたり、
一定在庫量まではスキルショップが先払いで買い取るとか出来ないのでしょうか?」
と俺がぼやいたら
店長さんが、少し考えたあと、
「これは、宰相様に相談した方が良い名案かもしれません。
しかし、オリジナルの数を集めるのに時間がかかり過ぎますね。」
と言っていたのだが、
間が悪いブルーが、
「師匠、テイマーのレベル2.5がありました。」
と言ってきた。
「でかした。」
と言った途端に〈ヤバい〉と気がついた。
店長の目が、怪しく光り、
俺たちは別室で洗いざらい白状するはめになり…
いま、お城の一室で王様や宰相様等のお偉いさんに囲まれて、
スキルスクロールにレベルがあり、
アイテム鑑定メガネとアイテム鑑定スキルの併用でレベルが判明する事、
マヨネーズの街で実験済みで、
複製したスキルが2以上のレベルが有れば、その複製したスキルスクロールからレベル1の複製が可能な事
スキルショップで話した、
〈オリジナルスキルスクロール〉共同所有方式などを議論するお偉いさんに囲まれ、真ん中にある椅子に座らされている。
〈被告人みたい…〉
居心地の悪い空間に耐えながら、
国がオリジナルを揃えて配るのを待つか、領主がレベル2以上の複製品セットを購入したり、オリジナルを用意して、領主に使用料を払うシステムと、
細やかな値段設定
オリジナル
レベル5の複製品、レベル2.5の物
レベル4の複製品、レベル2の物
レベル3の複製品、レベル1.5の物
複製品
レベル2.5の複製品、レベル1.25の物
レベル2の複製品、レベル1の物
と徐々に安くなる。
一般的なレベル2の複製品の価格を基本として、
レベル1の複製品は半額の設定となった。
〈これで、冒険者がスキルに手を出しやすくなる。〉
しかも、複製師のスキルスクロールの使用料もオリジナルを基本として、半額とした。
これで複製師にも負担が少なくスキルの複製に励んでもらえる。
そして、一番お偉いさん達が驚いたのが持っているスキルのスキルスクロールを使用した場合スキルレベルが上がる事だった。
「帝国のスキルショップではわりと普通に知られているみたいですよ。」
と報告したら
「こんな名案や新情報は早めに知らせるように!」
と国王陛下に〈チクリ〉と言われた。
「複製師のアイデアはガイルス辺境伯様に話した事ありますよ。」
と答えたら
「宰相、ガイルスに確認を取れ!」
と、王様が怒鳴っていた。
〈やーい、怒られろ、怒られろぉ。〉
俺が、ほくそ笑んでいると、国王陛下が、
「ドラグーン子爵、国の中枢で働く気はないか?」
と聞くので、
「謹んでお断りさせて頂きます、国王陛下。
やっとマヨネーズの街が軌道にのり、楽しい事が出来るようになった所ですので…」
と俺が答えると、国王陛下は、
「何を企んでおるのだ?」
と聞いてきた。
〈企むだなんて人聞きの悪い〉
俺は、
「ドラグーン達が昔ドラグーンナイトという騎士を作る為に卵を盗む人間が居たと申していたので、
我が領地の偵察役のワイバーンを使いテイマースキルを持った騎士とペアにした〈ワイバーンナイト〉を作る予定です。」
と話すと、
王様は目の色を変えて、
「子爵よ
〈ワイバーンナイト〉が出来たら、是非私にも見せて欲しい。
もしかしたら、王国の北東の領地の者達は長年、他国との小競り合いや数十年に一度来るスタンピードに怯えて暮らしておるので、
安全な偵察や、空からの攻撃手段は長年の願いなのだ。
子爵に頼んでいたペガサスの繁殖もその一環のつもりだったのだが、なにぶん数が足りぬゆえ…
もしかしたら〈ワイバーンナイト〉が解決の糸口になるかもしれぬ…
期待しているぞ。」
とお願いされた。
なんか、スキルを買いに来ただけなのに、責任重大な案件になってしまったなぁ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます