第112話 人員を再編成する男

結局30階層まで行っては見たが、

まるで訓練施設の様な作りだった。


ボスも一匹ずつしか出てこないし、


1階層で薬草

11階層で上薬草と薬草

21階層では特薬草と上薬草と薬草


というふうに上位互換の採集アイテムが手に入る。


B級冒険者チームならば安定して30階層まで周回も可能だ。


採集や採掘も可能だから、冒険者さえ入ってくれたら、


ポーション等の安定供給や


鉄などの鉱石の流通も増える。


鍛治屋が武器や防具を作れば、冒険者が購入し、経済が回る!


よし、冒険者の街を作ろう。


駆け出し冒険者用の安宿に屋台村、


中級冒険者に長期滞在可能な宿に酒場や料理店、


上級者冒険者にクランハウス的な庭付き邸宅などを作り、


鍛治屋、創薬ギルドの店、冒険者ギルド、武器屋に防具屋、


が最低限あればダンジョンで活動する冒険者の活動拠点になる。


しかも、このダンジョンは〈練習にもってこいな作り〉冒険者自体の育成にも繋がる。


帰ってベンさんをはじめ各親方衆と会議だな。



そう決めて、地上に戻った俺たち師弟パーティーは、〈ウマベェ〉〈バゲット〉〈サンダー〉を召喚して、マヨネーズの街を目指し走りだした。



しかし、採石に使った山に行く道とカレー湖環状道の分岐点にある〈デミオ村〉で、


〈あっ、デミオ村の存在理由が薄れる!〉


と思い、デミオ村と山への道の有効利用の方法を考えながら帰った。




さて、マヨネーズの街にもどり会議が行われた…のだが、


今まで何とか騙し騙しやって来たが、街の発展と複数の街を管理する事となり、


〈うちのメンバー達が過労死寸前の仕事だらけ生活問題〉が発覚した。


街作りより先に我が家〈ドラグーン子爵家〉のメンバー補充と組織化を先に行う事とした。



まず、ドラグーン子爵家として、



王国とのやり取りをトーマスさんとライザさんが中心で無理をさせて来たので、

文官職を多数採用しライザさん達は〈最終確認〉のみにする。



屋敷の管理はメイド組が居るので問題ないが、防犯の為の兵士が足りないので、

街と屋敷のために、騎士団の発足と団員の募集、

街の治安維持の為の兵士の追加募集に、

最悪の事態を考えて、領民の自衛訓練や避難訓練の実施



ベンさんが大変そうなので商業ギルドのギルドマスターを商会ナンバー2の元行商人の娘〈ミラ〉さんに部下を数人付けて交代してもらい、


ベンさんは〈ドラグーン子爵家〉の財務長官に就任してもらい奥さんのアンジェさんは秘書官に付いてもらう。


信頼のおける人物を正式に商会に追加採用し、

商会の顔として、元歌手の〈アリア〉さんを新社長として再編成する。




土木魔法師組・工房組・複製師組

のリーダー組織〈職人会〉として領地の運営に関わる会議に参加してもらう。



宿屋や観光産業長官にアイシャさんをおいて、宿屋の品質維持に務めてもらう。



お抱え冒険者育成官をヤングさんとマーズさんにお願いして、



あと、パーシー君を農林産業顧問にして

部下付けて作付けする野菜や植林する木々の選別、〈まうっス〉をはじめとする従魔牧場などからの相談窓口として採用した。



人員補強が出来き、学研都市が完成すれば、ダンジョンの街の着工をする。


その後、余裕が有ればデミオ村から山にかけての開発に手をつける予定だ。



まずは、人集めだ。


採用試験にあたり、トーマスさんの養子(むすこ)〈ゴードン〉さんと養女(むすめ)〈ヘンリエッタ〉さんが、トーマスさんの推薦枠で採用となる。


トーマスさんの下に付いてもらうが、


トーマス・パーシー・ゴードン・ヘンリ…エッタ


既婚者トーマス家が増えた。


〈新メンバーは多分諜報が専門の方々だろうね〉




そして、遂に、

男気あふれるアホ騎士の〈ガルド〉さんが帰ってきた。


馬車二台に奥さんのサトラの国のアラサーお姫様と瀕死だったメイドさん


なぜか、あの時の瀕死の兵隊さんと騎士の方々を6名連れて屋敷に到着した。


ガルドさんが、


「約一年ぶりに帰って参りました。」


と、挨拶をした。


俺は、純粋に


「何で帰ってきたの?」


と聞いた。

だって、惚れられた相手は王族だよ、

サトラの国で貴族してたら良いじゃん。


しかし、ガルドさんは涙目になり


「ご主人さま、私は〈要らない子〉ですか?」


と聞いてくる。


「だって、俺は〈子爵〉だしガルドさんはサトラの国に居たら出世出来たんじゃないの?」


と俺が言うと、


「主君を捨ててまで出世などしたくはありません!」


と言いきるガルドさん


こういう所はカッコいいんだけどね…


ほら、横の〈シルビアーナ〉さんの目がハートだよ。


「シルビアーナさんもお久しぶりです。


自己紹介もせずに失礼しておりました。

私、王国で子爵位を賜っております。ユウ・ツチヤ・ドラグーンと申します。」


と俺が自己紹介すると、


「あの時は、〈使用人〉と間違えて大変失礼を致しました。


私、シルビアーナは今は家名を捨てて、ただのシルビアーナになっておりますが、元王女として、あの時のお礼を申し上げます。


我が父、シルバ・ドゥ・ラ・サトラよりのお礼をお納め下さい。


兵士長、前へ」


とシルビアーナさんが言うと、


瀕死だった兵士さんが歩みでて、


「ドラグーン子爵様、あの時は命を助けて頂き誠に有り難うございました。


私は、あの時の護衛任務を失敗し仲間を失ったばかりか、姫にも大変深い傷を負わせてしまった責任を自らとり騎士団を辞めました。


止せと言ったのにも関わらず、私の部下だった6名も一緒に辞めて、行く宛もないところ、ガルド様が国からの報償金を辞退され代わりに私共の姫様の私設騎士団入団を陛下にお願いして頂き今に至ります。」


やる事なす事、男前だねガルドさんは…


「そして、最後の任務として、

ドラグーン子爵様の配下としていただくべく参上致しました。


サトラ国王陛下より書簡を預かっておりますのでこれを…」


と手紙を渡された。


中には、


『ドラグーン子爵殿、手紙で失礼する。


貴殿の部下が、行き遅れの傷物娘を快く貰ってくれた事大変感謝しております。


責任を感じて退団した第三騎士団長と部下は全て三男、四男なので、返す事を考えずに、貴殿の配下として使ってやって欲しい。


我が国では肩身が狭い様なので無理を承知でお頼み申します。


あと、その者達に貴殿へのお礼として、ミスリルインゴットを持たせて有るのでお納め下さい。


最後に成りましたが、

我が愛娘の命を助けて頂き誠に有り難く感じております。



サトラ国王 シルバ・ドゥ・ラ・サトラより』


と書いてあった。



えっ、いいの?


人材ゲットだぜ!

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