第109話 お使いに送り出す男

ブルー君が俺のパーティーメンバーに入って1ヶ月が経つ、


今はノーラさん達に剣術をビシビシ鍛えてもらっている。



師匠の俺は何をしていたかと言うと、


屋台村のテコ入れを行い、


腕は良いが、扱っているメニューが目新しくない為に売上が振るわない者を選び、レシピと準備資金を用意して、新メニューにチャレンジしてもらっていた。


餃子、唐揚げ、等のビールに良く合うメニューが新たに屋台村に追加し、


あの〈ちくわ〉を作り始めた屋台は、旦那さんが朝だけ釣りをして、昼前から二人で〈ちくわ〉と〈すり身天〉を夫婦で販売している。

たまに、息子さん達も手伝いに来ないと回らない人気店になった。


おでんに再会できる日も近いかもしれない。



さて、師弟チームでダンジョン調査に向かいたいのだが、


俺とサラはある程度戦えるが、ブルー君が火力不足だ。


サンダーもブルー君の戦闘スタイルにより選ぶスキルも変わるので、メーカー出荷状態のままだ。


ベンさんに予算を付けてもらい、ブルーくんとサンダーにスキルを取得してほしいので、マヨネーズの街にやっと出来た〈スキルショップ〉に来た。


王都のスキルショップの店長の弟子の〈ニルス〉さんが転勤辞令でウチに来たのだが、


困った事に、彼はお抱えの三人の複製師を連れて赴任してきたのだが、誰一人〈オリジナルスキルスクロール〉を持っていない。


つまり、生活魔法以外は輸送費が掛かる通販になる。


このままではお抱え複製師が食べて行けずに死んでしまうと泣きつかれたので、


三人共にウチの商会の職員にして最低限の基本給を出す事にした。


その代わり商会保有の〈オリジナル〉を共有してオリジナル使用料として、儲けの一部を商会に払う形とした。


ヤングさん達が王都のダンジョンで手に入れた〈身体強化〉と〈回避〉を商会で買い取り、


当面は、複製師組がこの二つをつくって、


それをスキルショップから商会が買い取りると、


オリジナル使用料が少し入るため、


結局、少し安く〈身体強化〉〈回避〉のスキルスクロールが手に入れられ、


複製師は安定収入を得られる仕組みを作った。


そして、このスキルをヤングさん達に渡して、契約冒険者の中から信頼出来る者を正規のお抱え冒険者にしてスキルを渡して、


ダンジョンでの魔石回収と〈オリジナルスキルスクロール〉を狙ってもらう事にする。


だが、ブルー君のスキルはマヨネーズの街で揃えるのには時間がかかり過ぎるので、王都に買い出しに行くことになった


ブルーくんが


「サンダーと一緒にビュンと行ってきます。」


と言ったので、


「俺も行ければ良いけど、サンダーは一人しか乗れないしね。」


と、俺が言ったら、ブルー君が、


「そうですね、師匠。


あれだけ沢山いいた〈ペガサス〉は飼い主の貴族様が連れて帰ってしまいましたから、

師匠のクロイの子馬だけしかペガサスが居ないけど、あの子じゃまだ乗ませんしね。」


と、残念がっていた。


※子供ペガサスは全部サンダーの子供なのは内緒にしてある。


そう、クロイはサンダー似のペガサスを産んで育てている。


クロイに、


「何でサンダーだったの?」


と、前に聞いたら、


〈アタイの近くで次から次へと…


お腹が膨らんだあのメス達を見て、

なんか、羨ましくなって、魔が差しただけです!!〉


と言っていた。


〈ペガサスに魔が差すとは…〉


産まれた灰色のペガサスに「グレイ」と名付けたが、グレイと空を走るのは数年後だろう。


お使いメモをブルー君に渡してた


『持ってるスキルは外して買うこと。


ブルー君に

〈サーチ〉

〈フィジカル〉

〈従魔召喚士〉

〈スラッシュ〉

〈クリーン〉


サンダーに

〈フィジカル〉


を買うのをベースにして、


これプラス大金貨十枚で好きなのを買ってきてください。』


「買い物中はサンダーを空で待機させておくように。」


と注意して送りだした。


残った俺はサラと、土木組に頼んで新たに作った狼牧場に来ている。


リオ達に召喚ルールをお願いするためだ。


『基本狼は種族問わずに1家族として頑張って欲しい。


皆ここで生活して、旅に出るのもOKだけど、子供達を見守る為に子守りチームを残すこと、


リオ、ガルは必要時に召喚の可能性あり、


プラ出産前なので当分お休みです。


あと、新たに弟子ができたから誰か相棒になってやって欲しい』


とお願いした。



プラの幼馴染の旦那がやる気をだしているので、たぶんブルー君の相棒は彼だな。

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