第13話 縛りプレイを試す男

今日は朝から俺とリオ、サラとガルの師弟パーティーで町の近くの草原ではなく、少し離れた岩場に来ている。


もうすぐ、昇級試験でここにいる〈大トカゲ〉の単独撃破をするかも知れないので、師匠として教習がてらやって来たのだ、


〈E級〉のサラとガルには少しハードかも知れないが、もしものサポート役の俺とリオがいるから、〈D級〉推奨の狩り場でも大丈夫であろう。


本日は、ここで手に入る採集物の説明と、サラの中型メインの罠の設置をして、


俺は、得意な罠を使わずにサラとガルの採集に動向しながら、


〈サーチ〉の練習と、弓による遠距離撃破を試す事にした。


この岩場では、〈魔水晶〉と呼ばれる魔力が流れやすい水晶が取れる。


丸くて固そうな岩をツルハシで叩き割れば希に岩の内側にびっしりと水晶が埋まっている空洞があるものがある。


実は、百六十万円の〈サーチ〉のおかげで、俺には目を瞑れば頭の中に自分を中心とした地図が表示され、〈探索〉スキルで鉱物資源を設定すると大体の位置に赤い点がが現れる。


目を開けて点が現れた方向に進むと、実際に見ている岩の何個かがうっすら赤く点滅する様に見えるので、実は簡単に当たりを引けるが、サラには暫く秘密にしておいて、ツルハシを出して、


「サラ、こんな感じの丸い岩をツルハシで叩くと…」


と実際に実演して魔水晶を見せる俺、


ツルハシを渡して、


「さぁ、やってごらん。」


と師匠っぽく指示をだしてみた。


〈サラ〉は中学生くらいの女の子だが、昨日身に付けた〈身体強化〉を使って、ツルハシで岩を割って行く。


たくましく育っているのを嬉しく思いながら、索敵とたまに鉱物資源の探索を挟みながらサラを誘導する。


〈流石に何も出ない場所を延々と探させるほど鬼ではない〉


赤い点滅をしている岩をサラが叩き割ると、


「兄貴、やりました!」


と歓喜の声を上げるサラ


近付いて見てみると見事な魔水晶が出て来ていた。


「やったな!さっきの俺のよりはるかに立派だ。」


とサラを誉めた。


早速〈マジックポーチ〉の出番が来たようで、サラは慎重に魔水晶を掘り出している。


その間に俺は索敵にかかった魔物を遠距離から倒す練習をしてみる。


頭の中にマップをだして〈索敵〉をかければ赤い点が現れる。

そちらを向いて目を凝らせば魔物の形に赤いサーモグラフィー映像の様な姿が岩の裏に居ても見える。


〈凄いスキルだ〉と感心しながら、〈身体強化〉を使い弓を射かける。


イタチの魔物が岩影から出ることなく倒された。


倒されたら赤いサーモグラフィー映像がただの点になる。


「リオ、お願い。」


とリオに指示をだすと、走りだしイタチの魔物を咥えて戻ってきた。


「よぉーし、よしよし」と誉めてあげたら、

「キャッキャ」と喜んでいるリオを眺めた…


平和だ…。


縛りプレイでドキドキしていたが、


〈買って良かったスキルスクロール!〉


状態である。


何の問題もなく楽々採集と討伐が出来ている。


マジックポーチがいっぱいに成ったサラには、続いて明日以降の為に罠を仕掛けさせる。


大トカゲがいるエリアの近くに行き、罠の設置をサラだけに任せてみた。


サラも立派な罠師に成長しているようで、見事な〈くくり罠〉を手際よく仕上げた。


驚いたのが、前に一度しか見せていない落とし穴の罠も一人で仕上げたのだ。


「凄いじゃないかサラ、いつの間に落とし穴が作れる様になったんだ?」


と俺が聞くと、照れくさそうに、


「兄貴に隠れて、森で練習してたんです。小鹿しか獲ったこと無いですけど…」


とはにかんでいるサラ、


「いやいや、立派だよ


〈D級〉の試験の練習に来たつもりだけど、これは安心できるな。


見事な罠師に成長してくれたよ。」


と、サラの頭を撫でやると、


「エヘヘヘっ」と喜んでいる。


ガルが少し寂しそうにしたので、


「ガルもサラのお供頑張ってくれてるからご主人様の成長が早いんだぞ。


良くやった!!」


とワシャワシャ可愛がってやったら、


〈えっ、良いんですかい?〉


見たいな顔を一瞬したあと、尻尾を振り回し


〈やっふぉーい〉


と、喜んでいた。



弟子の成長とスキルの便利さ、


それに、


テイマースキルが凄いのか、ガルとリオが特別表情が豊かな狼なのか良く分からなくなって来たと感じた1日だった。

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