第3話
暇さえあれば、僕はノートの端に短文やら詩やらを落書きしている。毎回思いついたことを書いてみては、自分の中で善し悪しを決め、採点する。
僕は読むことと、そしてそれ以上に書くことが大好きだった。書きたいことはたくさんある。いろんな話を、いろんな風に組み立てて、僕はそうやって一人遊びをする。空想の物語を幾つも幾つも頭の中で繰り広げる。そしてその一シーンを文章にして書き残す。またはその時の思いを、綴っておくのだ。
空想や妄想は、その詳細を強く鮮明に思い描けば、現実に見たかのように書き記すことができる。
僕は将来、文章を書く仕事に就きたいと思っていた。できるなら、小説家。詩人や脚本家でもいい。文章を書いてお金をもらって生きていくなど、まさに究極の理想である。
日本独特の綺麗な言葉や表現を使って、僕は僕だけの思いを書いていきたいのだ。今は、知識を蓄えなくてはいけない。色々読んで、色々聞いて、色々見たい。もちろん、どうしても趣向に合わなくて見られないもの、触れられないものも沢山ある。しかし、この世界はこれほど広いのだ。僕の受け付けないものを除いたとしても、生きる一生で見聞きしたことを書き尽くすことはないだろう。それも僕のオリジナリティになる。
何をしても今一つパッとしない僕に、唯一誇れるものがあるとしたら、誇れるものになり得るとしたら、文章を書くということだろう。
強い自信はないが、ものになりそうな期待はある。
僕は好きなことしか上手く出来ない人間だ。興味の無いことは、必死に頑張ってもあまり良い結果が出ない。平均して色々出来ない僕にとって、特にペーパーテストは相性が悪い。範囲の決められている定期テストならまだしも、応用のみを散りばめられた実力テストなど、点数はどん底だ。英語も、数学も、漢文も、物理も、化学も、あまり褒められた成績ではない。その代わりといってはなんだが、現代文と世界史だけは少しばかり自信がある。それは単に興味があり、好きだからである。この差は意外に大きいのだ。
藍川光月と席が隣同士になったのは、中間テストが終わり、六月に入ってすぐの席替えだった。
僕にとっては、嬉しくもあり、また一時も気が抜けないという緊張感でもあった。それに、こんなに近くては、盗み見ることもままならない。しかし、やはり彼女の隣で過ごす時間は、なんともいえない心地のよさがあった。席の関係もあってか、毎朝の挨拶だけは交わすようになった。
『おはよう』と言う言葉をお互いに掛け合うだけ。その瞬間だけは、僕は何の後ろめたさも感じることなく、彼女の顔を正面から見つめることが出来る。それが僕のささやかな幸せだった。
だが、期末テストが翌週に迫ったある日、それは突拍子も無く訪れた。
「あ、あの、水無月(みなづき)君」
鈴を鳴らしたような声が、僕の苗字を呼ぶ。それは少しだけ、緊張の色を帯びた声色だった。
呼ばれた方を見て、僕は驚いた。その人は藍川さんだった。
僕の鼓動が、一気に高鳴る。その所為で、曖昧な返事しか出来なかった。
「その……金曜日の現国のノート、とってある?」
やはり、か細い声だった。
僕は頷いた。現代国語のノートは取りそびれた事はない。
「そう、よかった。あの、もしよければ、見せてくれないかしら。貸してもらいたいの」
「えっ?」
僕は素っ頓狂な声を上げた。
「わたし、金曜日休んでしまったから。その分、書いていなくて……」
彼女は、ゆっくりと言葉を確かめるように言った。
金曜日と言えば、確かに彼女が欠席していた日だ。その時のノートを写させて欲しい、と。そこまで考えて、僕はやっと彼女の言っていることが理解できた。
「も、もちろん」
断る理由なんて無い。むしろ、こちらから貸したい気分だ。何でも良い。彼女と接点が出来るなら、本当に何でもよいのだ。
「よかった。ありがとう」
彼女は言って、柔らかく微笑んだ。初めて僕に向けられた笑顔だった。ぱあっと辺りが明るくなるような、それでいて心地の良い暖かさのある表情だ。
溜め息が出るほど、可愛らしく思えて、胸の真ん中がふわりと浮き上がるような感じがした。
僕はカバンの中からノートを取り出して、彼女に渡した。こんなことだけで、僕は完全に舞い上がっていた。いつもはなかなか上がらない僕のテンションは、一気に跳ね上がってしまっていたのだ。
「返すの、明日でもいい?」
「ああ。明後日の現国に間に合えばいつでもいいよ」
「うん。ありがとう。じゃあ、借りるわね」
彼女は丁重な手つきでノートを仕舞い、もう一度僕に微笑んでくれた。僕の心の奥が更に方が、ぽぅっと暖かくなった。人を好きになる気持ちというのは、なんと心地よく、もどかしいのだろうか。彼女は僕の生きる毎日においての光りそのものだった。
まるで太陽だ。
こんなこと、恥ずかしすぎて死んでも口にしたりはできないが、それでも、僕の中では紛れも無い真実だった。
ともかく。その時の僕は本当に舞い上がっていて、少し考えればわかることも全く見えないでいた。
ノートの中身だ。
板書を取り損ねているわけでも、人に見せられないほど字が汚いわけでもない。いや、むしろある意味その方がよかったかもしれない。僕のノートには、落書きがしてある。
何の脈絡も無い短文や、素で読むには恥ずかしい詩など、ありとあらゆる所に書いてあるのだ。しまった、と思った。現代文のノートとはいっても、さすがに何の関係もない文章が行外に幾つも書かれていれば、誰だって気付く。僕は内心頭を抱え込んだ。それでなくても、僕のクラスでの印象は、『根暗で目立たないやつ』なのに、それに加えて詩や短文の落書きなど、暗いやつの極みではないか。折角得た彼女との接点が、これでは逆効果だ。今から言って、ひとまず返してもらおうか。いや、鉛筆以外で書いたものもあるし、なにしろ数が多すぎて消しきれない。やはり貸せないというのも、あからさまに感じが悪い。色々考えた挙句、結局僕は肩を落としてため息を吐くことだけしかできなかった。運よく気にしないでくれるのを祈るしかない。
でも―-。
きっと気味悪がるだろうな。愛だの恋だの、希望だの勇気だの、時には理想論を、時には哲学的な人生論だの、こんなことを無数に書いている高校生、多分『気持ち悪い』と思われる。もちろん彼女のことだから、そんな直接的な言葉は使わないだろうし、僕本人を目の前にしてそれを口にするようなことは無いだろうけど、おそらく心のどこかでは思うに違いない。唯一の救いは、ただの一回も彼女に対する自分の気持ちを書いていないことだ。書いていたなら、その時点で何もかもが終わりであるわけだが。
それにしても、駄目だ。自爆だ。自ら印象を下げるようなことをしてどうするのだ。さっきまでの晴れやかな気持ちはもうどこかに吹き飛んでいて、重い落胆だけがじっとりと残っていた。
次の日の朝、ホームルームが始まる前の時間にノートは返ってきた。
『ありがとう。字も綺麗だったし、見やすいノートだったわ』
いつもどおりの挨拶の後、彼女はそう言って僕にノートを渡した。でも、それだけだった。何も言われなかったことに、とりあえず僕はホッとした。しかし、見ていない可能性は極めて低い。あれを見て、彼女の僕に対する印象はどうなっただろう。それが気になって気になって、僕は今にでも直接本人に聞きそうにさえなった。でも、僕にはそんな勇気は無い。もし本当に、予想通りの冷たい言葉が返ってきたら。そう考えると、とてもじゃないけど聞けるわけが無かった。
僕の不安は何日か続くこととなった。
『水無月は、ノートに奇妙な文章を書き綴っている』というような噂が流れていないところを見ると、少なくとも彼女はあのことを口外していないようだ。もしかすると、本当に万が一の確率が起きて、見ていないのかも、なんてことも思い始めていた。
いいや、違う。そもそも彼女は、そんな風に人が傷つくようなことを無闇に言いふらす人ではないじゃないか。きっと彼女は思いやりで自分の胸のうちにしまってくれているのだ。
僕はなんとなく、彼女に近寄りがたくなってしまった。もともと、親密なんて言葉からは程遠いところにいるのだが、それを考慮しても余計に距離を起きたい気持ちが僕にはあった。
一週間が過ぎて、期末テストが終わった日、僕は先生に校内放送で呼び出された。名目は夏休みに向けて配られるプリントの製本作業についてだった。五人しかいない文芸部の副部長を担っている僕は、昼休みに先生に呼ばれ、その後各部員の教室に行って、本日の放課後に製本作業があることを伝えに行った。何も、全員放送で呼び出せばいいのに、と思ったが昼の放送は聞き逃している者も多いため、直接呼ぶのが的確なのだ。
文芸部には、この手の仕事がよく回ってくる。普段は本を読むことぐらいしか活動していない僕達は、こういうところで仕事をするのだ。九枚のプリントを、整えて綴じる。夏休みの注意事項やら、自宅学習のカリキュラム表、登校日のカレンダーなど、どうでも良い様なことを長々と親切に明文化してくれている。一人三十部をノルマとして、担当の教師三人と合わせて計八人で作業は始められた。静かな視聴覚室で、八人が順番に一枚ずつプリントを取って横にずれていく。九枚取り終えて、ホチキスでパチンと留める。それを専用のラックに置いてまた一枚目を取り始める。なんとも地味な作業だ。皆特に話す内容も無く、黙々と進めていき、室内には紙の擦れる音のみがカサカサと響いた。
四十分ほど過ぎたところで、ようやく製本作業は終わった。もう十分に日は傾いていて、部活動をしている生徒意外は、殆ど残っていなかった。
僕はカバンを取りに教室に戻った。
ガランとした教室。僕は窓の方を見やって、思わず目を見開いた。
窓の向こうは赤かった。
薄い青紫の空に散り散りの鈍色の雲。それらを飲み込まんばかりに侵食して燃える茜色の太陽。素晴らしい夕焼けだった。
誰もいなくなった校舎。静まり返った教室。秒針の時を刻む音だけが、律儀に正確なリズムを奏でている。本当に静かで、目の前の赤々とした夕日に世界の全てが見惚れえいるようだった。
贅沢だ。
僕は特別何処に行ったわけでもなく、いつも過ごしているこの学校の教室で、こんなにも美しい景色を眺めている。それがとても贅沢に思えたのだ。ほんの一時間残っていただけで、この景色が見られたのは光栄だ。そう感じた。
「綺麗な夕日……」
足音が聞こえたと同時に、僕の後ろから女の子の声がした。
少し驚いて、後ろを振り返る。
目に映った姿に、僕はもう一度驚いた。
「あっ、水無月君」
僕の名前を呼んだのは、藍川さんだった。
窓から差し込んだ夕日が、彼女長い髪の一部を照らして、穏やかに輝いていた。
「今帰り?」
「うん。ちょっと先生の手伝いをしていて」
「あのお昼の呼び出しの?こんな時間まで掛かったのね」
僕は無言で頷いた。
「藍川さんは?」
「わたしは風紀委員の定期ミーティング。ほら、もうすぐ夏休みだから、それに向けての話し合いで少し長引いちゃったの」
そうだ。彼女は風紀委員なのだ。月に一回交代制で校門に立ち、生徒手帳と服装のチェックをする。このご時勢に律儀な風紀の取り締まり方をしているうちの高校は、ある意味天然記念物級である。
「でも、この夕日を見られたから、長引いてよかったのかもしれないわ」
彼女は窓の外を見て言った。
「そうかもしれないね。僕も残っていて良かったと思っていたんだ」
そう、君にも会えたのだし。
今この空間には、僕と彼女の二人だけ。僕の鼓動は駆け足を始めていた。
それから少し、僕達は黙って空を見ていた。その間に、太陽はもう半分くらい沈んでしまっていた。
「水無月君は、素敵な言葉を知っているのね」
唐突に、彼女はそう言った。
心臓が僅かに跳ねる。それはどちらかと言うと、ぎくりとする感覚に似ていた。
「えっ、どうして?」
「ノート。悪いとは思ったの。でも、偶然見つけちゃって。少しだけ、読ませてもらっちゃった」
彼女はすまなそうに言って、薄く笑った。
「そ、そう」
僕は俯いた。少しだけ、血の気が引いていく感覚がする。やはり見られていたのだ。
「勝手に、ごめんなさい」
そんな反応を勘違いしたのか、彼女は謝った。
「いや、それはいいんだ。あれじゃあ、読むなって方が無理あるし。そうじゃなくて、その、なんか恥ずかしいものを見せちゃったなって、思って。気味が悪くない?」
「そんなことないわ。とても、暖かい言葉がたくさんあって、素敵な表現もいっぱいあったから……なんか、凄いなぁって思ったの」
一つ一つ、ゆっくりと彼女は言った。
「わたしはあまり文章とか得意じゃないから……素直に尊敬しちゃう」
少し伏せ目勝ちに、彼女は微笑んだ。窓越しの夕日の所為で、彼女の頬もかすかに赤かった。藍川光月という少女は、本当に感じのよい女の子だった。存在そのものが目立ってしまう事実は隠しようもないが、選ぶ言葉、話し方、仕草、視線、表情、そのすべてにおいて、絶妙の距離を保つ。前に出すぎず、控え過ぎず。生活の中で、最も目立ちながら、最も目立たないところに立っている。そんな少女なのだ。
「そんな。僕はただ思いついたことをひたすら書いているだけで、全然立派なものじゃないよ」
僕が言うと、彼女は静かに首を横に振って、
「謙遜することないわ。自分の才能に誇りを持って」
真剣な眼差しで言った。それはお世辞なんかではきっとなくて、本当にそう思ってくれているのだということが伝わってきた。
嬉しかった。今、僕は褒められているのだ。認められているのだ。
好きな人に褒められることが、こんなに嬉しいことだとは思いも寄らなかった。出来ない科目の高得点なんて問題じゃないほど嬉しい。僕は心の中で拳をグッと握り締め、ガッツポーズをしていた。
「今度、また見せてもらえる?標語でも、詩でも、長い物語でもいいから、水無月君の文章を読みたい。あなたの文章には強い思いがこもっているから」
彼女はそういうと、『それじゃ、また明日』と言って、小さく手を振り、教室から出て行った。『一緒に帰ろう』とか、『ちょっと待って』とか、そんな言葉が浮かんだのは、数十秒後の話であり、リアルタイムの僕は馬鹿みたいなぎこちない笑顔で手を振り返していた。自分の行動力の無さが恨めしい。
僕と彼女は、ほんの少しだけ多く会話をするようになった。盛り上がるとか、意気投合とかいうところまではいかないけど、意識しないでも自然に言葉を交わせるようになっていた。
それは、少し前の僕には想像も出来なかった幸福で、僕の毎日はちょっとだけ明るく色付いた感じだった。
彼女と話す話題は、最近読んでいる本のことが殆どだった。読んできた本の量だけは、少しばかり自信がある。僕は彼女に聞かれるまま、恋愛小説だったらこれがいい、純文学だったらこれ、ファンタジーだったらあれ、というように知っている限りの本を勧めたり、貸したりした。でも、やはりそれだけだった。
「最近、よく話すみたいじゃないか」
夏休みを一週間後に控えたある日の帰り、隣を歩いていた茂樹がにやけた顔でそう言った。彼の言っている話題は、どう考えても僕と藍川さんとのことだった。
「うん」
とだけ僕は答えた。
「恋人とか言う雰囲気には程遠い感じがするけど、どうなんだ?」
実に平淡な口調で彼は言う。
「どうって、そんなんじゃないよ。ただ、僕が本をたくさん読んでいるって言ったら、どれかオススメの本はないかって、聞かれて。それで、話す機会が多くなっただけだよ」
僕は言った。本当に本の話題以外に、僕と彼女の接点は薄い。逆を言えば、それを抜きにしてしまったら、僕は彼女に話しかけるきっかけすらない。恋人どころか、友人としてさえも共有の話題に乏しいのだ。
「ふぅん……。でも、それで満足なのか」
茂樹は前を向いたまま、話し続けている。彼がなぜそんなことを言うのか、そんなことを聞くのか、僕にはよくわからなかった。
「満足、かな。実際に凄く嬉しいんだ。今まで見ているだけだったけど、隣の席になって、面と向って挨拶するようになって。そして、普通に話が出来るなんて、夢のようでさ。なんか、わからないけど毎日が楽しい感じで」
僕はあるがままに、思っていることを言った。すると、茂樹はいつかのようにため息混じり笑うと、
「お前って、幸せなやつだな。いや、お前らしいけど。だがな、中学生じゃないんだから、もっと積極的にいってみたらどうだ?なんでもいい。本のこと話しているなら、それになんとなく託けて喫茶店に誘ってみるとか、食事に誘ってみるとか。普通なら、考えるけどな。だってお前、好きなんだろ?彼女のこと」
そう言って僕の方を向いた。
僕は彼と目を合わせなかった。
わかっているし、そう考えたことがないわけじゃない。僕だって、もっと彼女と話がしたい。一緒に食事をしたり、映画を観たり出来たら、どれほど良いかと思っている。でも、それは少し高望みが過ぎるのではないか。本来、僕のような冴えない人間と、誰もが羨む彼女のような人間が、多少なりとも頻繁に話せること自体幸運なのだ。
自分を卑下しているだけの話ではない。
これはきっと、僕の保身なのだ。
彼女のような人と、仮に付き合うことができたとしても、傷付くのは、きっと僕だ。不釣合いな相手に、劣等感を抱き、嫉妬し、不安になり、そうやって僕はきっと、僕を殺していく。
「それは、無理だよ。彼女はそんな気は全く無いだろうし、ほんと、たまたまタイミングが良かっただけで、本をたくさん知っている人なら、僕じゃなくても良かったわけだし。それをそんな……高慢だよ」
僕が言うと、
「馬鹿だな、仙。お前はどうしてそうやってなんでも諦めるんだ?確かに、お前はそん所そこらにいる、平凡な人間とは言い難いよ。社交的じゃないし、みんなが知っている話題は知らないかもしれない。でも、それってお前の個性だろ。俺から見たって、お前は全然格好悪いところなんて無い。あるとすれば、そのじめじめとした諦め根性とマイナス思考だ」
彼の口調はいつになく強いものだった。茂樹は常々、今みたいなことを言ってくれる。僕にもっと自信を持て、と言うのだ。励ましてくれる気持ちは嬉しいし、有り難いのだが、だからと言ってコロッと変われるほど、人間は単純ではない。自信を持ちたい、悲観的になんてなりたいはずが無い。でも、それを打ち砕くだけの裏づけなるものが、僕には無いのだ。
揺らがない誇りが欲しい。僕はこんなとき、一際強くそう願う。
「世の中で、高慢な考えが許されるとしたら、俺は唯一恋愛がそうだと思う。だから、周りなんて気にするな」
茂樹は最後にそう言って、別れ道となる曲がり角を曲がって行った。
彼の言う通り、僕は諦めてばかりだ。
やってみて、出来なくて、努力しても上手く行かないことが多すぎて、諦めなくちゃいけないことが多すぎて、僕は何時しか、諦めることから始めてしまっている。
そんなこと、良いはずがないのは分かっているのに。
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