第4話
犬をひいたらラグナロクまであと1年になりました。
皆さん、犬は大切にしましょう。
怒るのは動物愛護団体だけではありません。
ラグナロクも起こります。
冗談はさておきどうする?
いや、とりあえず早いうちにダンジョンに潜るべきか。
何故ならダンジョンには遺跡があって魔王種の情報があったんだ。
だったらこの1年後に何があるかの情報もあるはず、いやあってくれ。
高レベルだからまだほかの誰も行ったことのない場所まで行けると思うし。
けどなぁ、ダンジョンには尚更潜りたくねぇ。
そんなこと言っている場合じゃないけど潜りたくねぇ。
今ダンジョンに入るために必要なダイバー免許をとれば確実にステータスがばれる。
こんなくそ高いステータス目立ってしょうがない。
そしたらどうだ? あのスカイツリーの円環と関連付けされるのは想像に難くない。
言え! お前があんな馬鹿デカイ円環を作ったのだろう! レベル99ならできそうだ!
違います! 犬をひいたら、そいつがスライムの魔王で、経験値がガッポガッポだったんです!
そんな都合のいいガッポガッポが起きるわけがない! 嘘つくな!
まだかわいらしい展開だなこれ。
ひょっとしたら救世主か何かとして祭り上げられる可能性もあるが。
事情がばれたら悪くて戦犯、ネット上でひたすらにたたかれ続ける存在だ。
下手したら国を混乱させ、よくないものを引き起こした原因として、俺を殺すために日本VS俺になるかも…。
いやだぁー! そんな展開認められない!
俺は英雄願望はないが、戦犯願望も自殺願望もないのだ!
普通にお金をガッポガッポできればいいんだ!
…とりあえず、ダンジョンを安全に潜るために擬態で別人になろう。まずはそこからだ。
その後、俺はしばらくいろいろなことを試したのち、目的の場所へ行く為に夜の街へ繰り出した。
目的の場所、コンビニへ。
コンビニの中はそろそろ日が変わりそうな時間だということであまり人はいない。
そして商品を物色するふりをして床に落ちている髪の毛を見つけ、足の部分だけをスライムに変えてサンダルからこっそりと触手を伸ばす。
髪を拾って取り込むと、スライムの中でしゅわっと溶けていった。
髪の毛くらいならすぐに消化できる。
するとステータスの完全擬態の項目が変化している。
擬態対象:
スライム(100%)
相川隆(0.1%/20%)不可
おー。一応髪の毛でも情報を取得できるっぽいな。
DNA情報を元にしているなら細胞が必要なんだろうが…。スキルなら髪の毛だけでも大丈夫らしい。
それに取得は確率だったが成功したか。運がいい。
運がいいが…。
「0.1%じゃ意味ないんだよなぁ」
擬態には最低でも20%ないと無理なのだから、コツコツ適当に床に落ちている抜け毛を集めても意味がない。
それだと人がバラバラになりすぎていつまでたっても20%には届かないだろう。
「しかし、便利だな。スライムへの部分擬態」
コンビニに行く前に試していたこと、それはスライムへの擬態だ。
もうリスクとか言ってる場合じゃないからな。すぐに試したよ。
俺は平和な時代で控えめに俺TUEEEEしてお金をガッポガッポしたいが、ディストピアでガッポガッポはしたくはない。
これは何としても回避しないといけない。
だからスライムへの擬態実験を最速で行った。
そして家の中で手のひらを変えたり、足を変えたりなど、慎重にスライムへの擬態を試していくといろんなことがわかった。
一つに大体意思を保つのは50%くらいまでだったら大丈夫だと気付いた。
そして50%まで行けば全身が変えられる。全身スライム人間に成れるのだ。
スライムになると見た目から脳がなくなっていたのに思考ができてたことには驚いた。
脳、どこ行った。あまり考えてはいけないのかもしれない。
さらに50%を超えるほど擬態率を上げると、何かに侵食されるような感触がある。
どこかから思考を無理やり流されてるかのようだ。
ここら辺から本能とか知能まで擬態しようとしているのだろう。
これ、やろうと思えば相手の思考を読むこともできそうだな。
慣れるまで難しそうだし、自己が消失する危険性もあるが。
もう一つが訓練すれば、各項目だけ擬態するなんてこともできそうだ。
つまりスキルだけでもコピーできそうな感じだ。あくまで感覚だが。
これ、極めるとダイバーやモンスターからスキルだけコピーしたデメリットなしのとんでもない奴になるかもしれない。
…あのスライム、本当に何で車で一撃死だったんだろう。
「うーむ。しかし、今後どうするか。何かあるかな」
人の髪の毛をちんたら拾っていてもいつまでたっても人に擬態はできない。
コピーするにはその人の一部が必要。一部なぁ。
血とかどうだ? 献血とかもらうのいいんじゃない? わざと交通事故起こしてみる?
いやけど多分それ相手側が悲惨なことになる間違いない。
このステータスだもの。多分車が電柱にぶつかったみたいになるだろう。
魔力を使わない自信はない。痛いのガッポガッポは嫌だ。
血を売ってもらう…のは法律で禁止されてるのか。
だとすると例え闇で売っている人がいたとしても、その道の人を探すのめちゃくちゃ時間がかかりそうだな。
唾液? 適当なペットボトルでも舐め舐めする? 人間の尊厳捨てちゃう?
俺はコンビニに設置されたゴミ箱にあるペットボトルを見て、顔を横に振った。
…仕方がない。不幸な人物を作ろう。それが最も手っ取り早い。
俺は近くの繁華街の路地裏へと向かった。
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