第1話 そこは南国、トロピカル

GM「では、お二人は奈落大教会の司教から南海の黒点海域で新たな奈落の魔域シャロウ・アビスが発生したと知らせを受けます」


ヴァネッサ「奈落大教会の教えでは魔神デーモンは神の遣いで、奈落の魔域シャロウ・アビスは神が人族に与える試練なんだっけ?」


GM「そうですね。なので大司教様が出てきて『こたびの試練に挑む者が決まったヴァネッサ、そしてリタよ、お主たちであれば奈落の魔域シャロウ・アビスに挑み奈落の核アビスコアの欠片を持って帰ってこれると信じておる』と告げます」


リタ「捨て子だった私を拾ってくれた恩に報いるため、神の試練を乗り越え、奈落の核アビスコアの欠片を持ち帰ってみせましょう」


ヴァネッサ「私も大司教に一礼して、それにならうよ」


GM「それでは装備を整えた2人は用意された船で黒点海域へと向かいます。しばらく移動すると渦潮のようなものが発生しているのが分かります。海中に現れた奈落の魔域シャロウ・アビスへの入り口が、水を吸い込んでいるのです」


ヴァネッサ「ちょっと怖いがここはリタの姉貴分として根性を見せる時だな。いくぞ、と声をかけて渦潮に飛び込むよ」


リタ「私もそれに続きます」


GM「では2人は渦潮の中心部にある奈落の魔域シャロウ・アビスへと身を投じます。しばらく水中を漂いあなた達が目を覚ますとそこは浜辺でした。もちろん大教会に戻ってきたわけでなく奈落の魔域シャロウ・アビス内部にある異空間です。空には太陽がさんさんと輝き、潮の香りと、白い砂浜。気温は高めです。そうここは熱帯の島、トロピカルアイランドです」


ヴァネッサ「なるほどね。とりあえず、アタシは服を乾かしたいな。このままじゃあ、海水と砂でべとべとだ」


リタ「ええ、動きにくいし気持ち悪いですね」


GM「では、移動を始めようかとした時に2人はこちらへ歩いてくる人影に気づきます、よく日に焼け褐色の肌をした背の高い男です。彼はエルフ語であなた達2人に呼び掛けてきます。ヴァネッサにはキャラクター作成時にエルフ語を習得してもらったので彼の言葉が分かります」


ヴァネッサ「必ずエルフ語を取るように言われたのは初めてだったけど、こういうことだったのか。エルフ語でなんて言ってる?」


褐色のエルフ「あんた達、漂流者かい。海で濡れて大変だったろう。近くに俺の村がある。そこまで来ないか?」


ヴァネッサ「ありがたい申し出だし受けようか」


リタ「いいんですの? 奈落の魔域シャロウ・アビスの中にいるなんて、普通の人では無さそうですけど」


[奈落の魔域シャロウ・アビスの内部]

基本的に奈落の魔域シャロウ・アビスの中は無人であり、中に誰かいる場合、ヴァネッサとリタのように外から来たか、あるいは奈落の魔域シャロウ・アビスが作り出した幻のようなものである。奈落の魔域シャロウ・アビスは中に踏み入ったものの心の奥底の願望を読み取り、その願いを曲がった形で反映した領域を作ることがあり。その願いの形によっては幻の人物が出てくることになる。


ヴァネッサ「村があるあたり十中八九、幻だと思うな。渦潮に巻き込まれた船商人か誰かが巻き込まれたのかもしれない。手がかりもないし、とりあえず着いていってみようぜ」


こうして私たち2人はトロピカルな南の島へと漂着したのです。







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