第42話 お暇
———今は、私は陽葵と二人で正吾君の部屋でコタツに入って寛いでいた。当然、目の前には正吾君がいる。
「正吾君ごめんなさい。なんか色々バレてしまいました」
「———こういう時もあるさ。俺は何一つ迷惑になっていないから問題ない。気にするな」
「そう言って頂けると助かりますが……。皆さんお茶飲みますか?」
「ありがと。何あるの?」
「緑茶、紅茶、コーヒーですね」
「じゃあ、紅茶で———って、丹菜、早速やらかしてるよ」
「え? あ!」
今日の私はダメダメだ。何で私が正吾君のキッチン事情知ってるんだって話だ。
「ははははははは―――イイじゃん。相手は親友の陽葵だ。全部打ち明けていいんじゃ無いのか? さっきも言ったけど、俺は全然迷惑じゃないからさ」
「———分かりました。それじゃあ全部教えちゃいます」
私は使わないと思いつつ買ったお客様用のカップに紅茶を淹れて陽葵に出した。そして、私と正吾君の飲み物は自分達のマグカップに淹れてテーブルに置いた。
陽葵はそのマグカップを見てニヤニヤしている。
「そっか、一緒に生活してるって感じなんだね?」
「———はい、そうです」
「さっきチラッとキッチン見た時、食器が二つずつ並んでたけど……」
「はい。食事も朝晩一緒に食べてます……ここで」
「今日、初めて陽葵の料理食べたけど……あんな美味しいの正吾君、毎日食べてたんだ」
「———そうだ。あんなに美味いものを俺は毎日三食食べている」
「ん? 三食? 昼の弁当も?」
「正吾君! それ言っちゃうんですか!」
「すまん、ワザとだが口が滑った」
「一つだけ聞かせて。……あんた達付き合って無いんだよね?」
「付き合ってない」
「———はい。付き合ってません」
「ふーん……分かった。今日はこの辺で勘弁してやるか」
「あの……皆さんにはまだ内緒でお願いします」
この後、バンドの話とか来年の話をして陽葵は帰っていった。
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「正吾君、本当に御免なさい。今日の……いえ、最近の私どうかしてたんです。今日、陽葵が来る話も忘れてましたし……この部屋での振舞いももっと気をつければ……」
「習慣付いたものは意識してても自然と行動に取ってしまうもんだ。だからお前は悪く無い。と言うことで、俺も陽葵が来てるって知ってて丹菜にメッセージ送ってしまった訳だ。だから俺も悪くない」
「ふふふ。そうですね。誰も悪くないんですね。有り難うございます。少し気が晴れました」
「多分な、お前疲れてんだと思うぞ。明日から一週間、俺の事はいいから自分の事に専念しな」
「え? ここに来ちゃダメなんですか」
「試しに一週間だ。それで見えてくる事もあるだろ?」
「分かりました。それじゃあ明日から一週間、お
「それ、家政婦とかのセリフじゃね?」
「そうですね。ドラマとかで聞きますね。……やっぱり私家政婦だったんですね?」
私は一週間、正吾君の部屋を出入り禁止になったんだけど……この事が学校全体を揺るがす出来事に発展してしまうとは……誰が予想できたでしょう……。
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