第41話 負の連鎖
———日曜日。陽葵がバレンタインのチョコを作りにうちに来たんだけど……。
「ね、正吾君、隣の部屋から出て来たんだけど……なんで?」
———正吾君に今日陽葵が部屋に来る事、話したつもりでいた……話していなかったようだ。
———ここは気持ちを切り替えて、どこまで陽葵に教えようか……。
「———うーんとね。実は正吾君、隣に住んでるの」
「え? そうなの? 今まで何で黙ってたの? ……って質問はちょっと違うね」
「ありがとう御座います。やっぱり、一人暮らし同士がお隣さん同士ってのは色々勘繰られますから……」
「そうだね。って言う事は正吾君引っ越してきた時から知ってたって事でしょ? それでトゥエルブとも知り合って……ん? どういう順番だろ?」
「最初は全然他人でしたよ。正吾君、学校でもあのとおりですし、朝見かけても『うす』しか言いませんでしたから。それで―――」
———私は、彼との関わりについて順序よく話した。最初はトゥエルブとして出会い、風邪の看病で正吾君がトゥエルブと知り……半同棲的な生活は隠したまま……。
「———なる程ねー。丹菜の一人暮らしって結構危ないなーなんて思ってたけど、実は本当に危なかったんだ。フフ」
「ウフフ……そうなんです。隣の部屋にいつオオカミさんになるか分からない野獣が……って、私はオオカミさんになって欲しいって思ってるんですけど、あのとおりなんで……シュン」
「正吾君の事だから『丹菜を守る事が俺のロックだ』って言いそうだね」
「はい。実際、それに近い事、言われた事はあります」
「———もしかしてさ、年末年始、正吾君と一緒にいた?」
あわわ。あんまり聞いて欲しく無い質問ですね。
「———はい…モジ」
「そっか、という事はどっちかの部屋にいたって事か。彼の性格から女性の部屋には入らなそうだけどね」
「———正解……です……モジモジ」
「ま、その辺の話は後からゆっくり聞くとして、チョコ作ろっか」
「そうですね」
私達はチョコ作り取り掛かった。そしてお昼になり、今日は私がお昼ご飯を振る舞った。
そして———。
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“———ぴこん”
「あ、正吾君、間も無く帰ってくるみたいですね」
「……ニヤニヤ……ニヤニヤ」
「何ニヤニヤして……あっ!」
私は思いっきりドジってしまった。
「そっかー、正吾君バイト終わると丹菜に連絡くれるんだ。そっかー。ニヤニヤ」
「えーっと、そ、そのですね。あ、宅急便……そう! 宅急便です。たまに正吾君が甘ゾンで買ったものとかが届くことあって、その確認で……はぁ……、———はい、おっしゃるとおりです」
私は観念した。でも、半同棲生活は内緒だ。これだけは死守する!
「連絡くれるって事は、その後なんかあるから連絡くれるんだよね? 何だろうね? ニヤニヤ」
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・
———そして正吾君が帰ってきた今、陽葵が正吾君の部屋に押しかけ、私と陽葵は、正吾君の部屋のコタツで寛いでいた。
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