第3話 キレる…でもね!
「アンタさぁ!!半年も苗字で呼び合って!!手も繋がないで!!お互いに好きなのを確信しているのにも関わらず何も進展させないってさぁ!アンタは新手の放置プレイ大好きなサディストかよ!!」
駅のロータリーに響き渡る位の大きな声で彼女が怒鳴った。
「あたしゃあねぇ!!アンタが誘ってくれるのをずっと待ってんだよ!!アンタのつまらない話を馬鹿面しながら聞いてるのも辛いんだからな!!んで?どうすんだよ!今日だって最終電車が通り過ぎるのを待ってわざと帰れないシチュエーションを作ったんだからよぉ!」
疎らな人達が寄ってきている。
「皆さんどうおもいますか!!この男はアタシを大好きなんですよ!アタシもこの男が大好きなんですよ!そして、最終電車はもう無いんですよ!普通なら二人は暖かいホテルでロマンチックな夜を過ごすでしょ!!!はいはい!皆さんどうおもいますか!!!」
ほろ酔いのサラリーマンや仕事帰りのホステス、大学生のグループ、タクシー運転手が笑っている。
“姉さん!がんばれ!!”
誰かが言った。
「ありがとう!!あたしゃ新潟出身でね!この位の寒さなんてへっちゃらなんだよ!アンタの上着よりアタシのアンタへの愛の方が熱いんだよ!」
僕は止まらない彼女の演説にギレンをリンクさせている。
「格好いい……」
僕は呟いたー。
「アンタは大人しい女が好きかも知れないけど大人しくしていられるのも限界があんだよ!ハッキリしなさいよ!!!」
彼女は地面を強く蹴った。
周りの人集りからは拍手が鳴り響いてスタンディングしている。いや、もともと立っていたが…。
「ぼ、僕は…」
周りが静かになる。
「僕は貴女が好きです!」
“おおおお!いいぞ!兄さん!”
「ぼ、僕は貴方のマンマンに!!〇ン〇ンをぶっ挿して二人で昇天したいです!!!」
周りからどよめきー。
「はい!私も同じ気持ちです!!」
彼女は微笑みながら僕の手を握った。
「あそこに見えるホテルUSAで貴女のマンマンをペロリとさせてください!!!」
「はい!!喜んで!!」
僕達は抱き合った。
“おお!おめでとう!”
周りの拍手で僕達はホテルへ向かった。
「週末だから満室かもよ~!満室なら池袋まで乗せてやるからな~」
タクシー運転手がタバコを咥えながら見送ってくれた。
いつの間にか雨は止んでいた。
おわり
Do YOU Love me 門前払 勝無 @kaburemono
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