第2話 キレていいですか?
彼女の暖かい眼差しが少し鋭く尖って僕を観ている。
彼女は冷めたコーヒーを飲み込みー。
「森田さんは私の事をどう思っていますか?」
ストレートな質問を唐突に突き付けられて唖然としてしまった。
唖然としている僕に彼女は続けた。
「私は森田さんと恋人関係になりたいと思っています…」
沈黙…。
カウンターの奥でサイフォンが沸いてコーヒーが上がってきている。
「帰りましょっか…」
彼女は僕の返答を待たずにレシートを持ってレジに向かってしまった。
明らかに怒っているのが解る。なよなよした僕の態度が彼女に不快感を与えたのである。
駅まで歩いて3分…無言…2分…無言…1分、彼女が振り返る。
「あの…」
「は、はい」
「キレていいですか?」
「はい?」
“キレていいですか?”とは、キレる前にキレる相手に確認してからキレるとはこちらとしてはかなりの恐怖を感じる言葉である。そして、人によってキレる度合いがあり、僕には彼女が怒るのも初めてな事で更にキレるとは、しかし、僕には“ダメです”という権利は無いから受け入れるしか無いのである。
「はい…キレていいです…」
彼女は僕を少し睨み付けて、大きく深呼吸をした。
僕を睨んだ彼女は清楚な雰囲気からファイターのような眼光であった。
つづく
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