Do YOU Love me
門前払 勝無
第1話 激しい雨
暖かく激しい雨が打ち付けるアスファルトは街の灯りを映し出している。
流行のラヴソングは雨音で掻き消されて僕にも君にも届かないー。
君は頻りに時計を気にしている。
「もう帰りますか?」
「いえ、まだ大丈夫です」
僕は彼女に“好き”と言うことを伝えられていないままである。
直ぐに電車に乗れるように駅前の遅くまで開いている喫茶店に居る。
他愛も無い会話をしながら時の流れを感じている。彼女は微笑みながら僕の無意味な話に頷くのを繰り返している。つまらない会話で申し訳ないなぁと思いながらも“気まずい沈黙”を作らないように無駄なことばかり話している。
最終電車がホームに入るのが喫茶店から見えた。
「もう間に合わないですね」
彼女が駅のホームを眺めながら言った。
「ごめんなさい!確認しておけばよかった」
「大丈夫です」
「タクシーで家まで送ります」
「……」
彼女は何も言わずに俯いたまま冷めたコーヒーを見つめている。
「ごめんなさい」
「いえ…質問して良いですか?」
「え、は、はい」
僕は彼女の鋭くなった目線に息を呑んだー。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます