Do YOU Love me

門前払 勝無

第1話 激しい雨

 暖かく激しい雨が打ち付けるアスファルトは街の灯りを映し出している。


 流行のラヴソングは雨音で掻き消されて僕にも君にも届かないー。


 君は頻りに時計を気にしている。


「もう帰りますか?」

「いえ、まだ大丈夫です」

僕は彼女に“好き”と言うことを伝えられていないままである。


 直ぐに電車に乗れるように駅前の遅くまで開いている喫茶店に居る。

 他愛も無い会話をしながら時の流れを感じている。彼女は微笑みながら僕の無意味な話に頷くのを繰り返している。つまらない会話で申し訳ないなぁと思いながらも“気まずい沈黙”を作らないように無駄なことばかり話している。


 最終電車がホームに入るのが喫茶店から見えた。


「もう間に合わないですね」

彼女が駅のホームを眺めながら言った。

「ごめんなさい!確認しておけばよかった」

「大丈夫です」

「タクシーで家まで送ります」

「……」

彼女は何も言わずに俯いたまま冷めたコーヒーを見つめている。

「ごめんなさい」

「いえ…質問して良いですか?」

「え、は、はい」

僕は彼女の鋭くなった目線に息を呑んだー。


つづく

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