第5節. 白亜大神殿   ( アカリ視点 )

第091話.妖精王と白亜の神殿

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【あらすじ】


 フィリルと再会を誓い別れた後、長老さんの導きで『7世界の王』の1人目に会いに行く事になったワタシ。


 でも此れって、どうやら只の謁見では済まなそうで……? 



【舞台】 スメルクト大陸


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 白亜の神殿の中に突入した、ワタシとニックの “凸凹師弟コンビ” 。遥か遠くまで続く、終わりの見えない円柱の道を只管真っ直ぐ進み続けます。



タゥン、タゥン、タゥン……



 音が沢山の円柱に反射して共鳴するからでしょうか、足音がボワンボワンと膨らんで聞こえて来ます。



【うわっ、おもしろーい!】



 ニックも、羽根をワザと音が鳴る様に大げさに羽ばたいてみます。



ファラッ、ファラッ、ファラッ……



 ニックの羽ばたきの音も共鳴のオブラートに包まれると、こんな風に膨らみ聞こえるんですね。もうニックは大喜び、キャッキャ燥ぎ はしゃぎ ます。











 一方ワタシ、この柱を見ながら……何だか日本にいる時に世界史の教科書で見た「パルテノン神殿」を支える『円柱』に似てるなぁって思い出しました。


「ニックさん……この『円柱』、向こうの世界、ギリシャって国でも同じ様なモノを見た事が有るんですよ! まさか、『妖精王』って “転生者” の方なのでは……?」


 いえ、確かに妖精王が向こうの世界である日本の事を知ってるなら転生者である可能性は有ります。でも、転生者で無くても向こうの世界の事を知る事は出来るんです。


 例えば……この前のガーゴイルの様に、ワープホールを通って地上界から日本へと逆転移するパターン。


 それを立証する為にはまず、この円柱がこの地上界で造られた物か、この地上界には存在しない物質で造られているかを調べる必要が有るのですが……どちらにせよ、今この場では無理と云うものです。



 円柱は両脇とも、等間隔に並んでずっと続いて居て。なので、白亜の神殿のコロネードはパルテノン神殿のとはまた違うみたいです。


 円柱と円柱の間から、暖かい木漏れ日が射し込みます。どうやら、時々眩しく反射してる所も在るみたいなので……神殿の中なのに関わらず、陽当たりは良好の様です。


 なので、神殿の中だからとは云え……ヒンヤリとはして無いんです。











 すると、円柱よりも遥か頭上から降りて来る声が聞こえました。例の頭痛と共に、頭の中に直接響いて来て。因みにこの脳内アナウンス、ニックにも届いてます。



【ようこそいらっしゃいました、“選ばれし者” の皆さん。これから本当に私に会う資格を有してるかどうか、テストさせて頂きます。さぁテストは2つ、私を楽しませて下さいね……】



 2人は同時に、思わず声のする方向を見上げます。一体、この上はどれだけ高いのでしょうか? 何処かに繋がってるのでしょうか?



 果たして、『妖精王』は味方になってくれるのでしょうか。それとも敵に回ってしまうのか……ワタシは、不安そうな顔でニックに聞きました。


「ニックさん、今の声って『妖精王』からですよね……?コレってワタシ達、一体何を試されてるんでしょう……か?」


 しかし、ニックは答えません。どうやら、考え事をしてる様です。『妖精王』の事について、何か心当たりが有るのでしょうか?




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 もし、この声が「あの人」なら……

妖精王、じゃない・・・・んだよねー。


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 『妖精王』からのメッセージが聞こえた後、不安を振り払うかの様にワタシはニックとひたすら柱の道を歩き続けました。


 その時、ふとワタシはこんなひと言を口にしたんです。


「ねぇニック……さん、ワタシさっきから歩き続けて居て凄く感じてる事が有るんですけど……」


 お、どうやらニックも同じく思い当たったフシが有ったみたいで……



【奇遇だねー、実はボクもなのよー! お姉ちゃん、ココでサクッと “相性テスト” してみよー! 同じ解答が出たら、相性バッチリだよー!】



 いくよー!せ……のっ!



【ずっと堂々巡りしてるー! (してますねっ!) 】×2



 ワタシもニックも、解答がシンクロして喜び合います。でも、ただ2人の相性が合っただけでは何の問題の解決にもなりません。




 それはもう、2人とも分かってます。なので次にした事、其れは……

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