第086話.未知の能力へ覚醒?

 桜の花弁から漏れ出る声は、記憶に残ってます。神翼ウサギの声ですね! その声は、こうも語り掛けます。




一度傾いた運命は、願いの形がどうであれ流れ戻って来るんです……アナタの許へとね。だから怖がらず、運命を受け入れて!




 例えそれが良い願いでも、悪い願いでも。でもどんな形で・・・・・自分の許へと返って来るかは、誰にも分からないんですね。


 ワタシがその声無き声を聞いた後、改めてニックの方を振り向いてみると……









 そんなニックの数々の苦労が段々と実って来たのか、娘さん達の無表情だった感情が少しだけですが優しい顔になりまして。


 でもそれは、どうやらニックの頑張りだけでは無いみたいなんです。


 よくよく観察してみると、3人ともボールを目で追いかけてる中でイヌのきぐるみさんは何かを手で握ってます。たぶん無意識だと思うんですけど、一体何を握ってるんでしょうか?


 ワタシ、目を凝らして“視て”みたんです。するとそれは……何と、自分のシャンパンゴールドの神気の帯だったんです!


 でも、ワタシの帯って『視えない霊体が可視化出来る』効果しか無かったハズですよね?


 試しに、もっとよく視てみると……ワタシの帯のシャンパン色が放出してる量、前より多くなってませんか?




絶望って、何色ですか? その色さえ分かれば、きっと絶望なんて足元から希望に変わって行くんですよ




 絶望、かぁ……思い出しましたよ、あの・・言葉。此れもきっと、ワタシが女神になる為に、避けては通れない“路”なんですね……


 神気量自体が多くなってると云うのも有りますけど、ワタシが神気の帯を意識した事でシャンパン色の放出が前よりも激しく・・・なってるんです!









 今までワタシは、ココロの内部から神気の『放出口』を大きくしようと幾度と無く努力を繰り返して来ました。


 でも、ほんのちょっぴりなワタシの神気では抉じ開けるには限界が有ります。なのでワタシの神気に人間の霊気を混ぜて試行錯誤してたんです。


 それでも、今まで一度も抉じ開けに成功した事は有りませんでした。それが今、放出口のタカが外れて、いえ、全開になってしまったんです!


 そう、此れはまるで神気を“外から足された”みたいな感じです。




【特別に、ワタシのを差し上げます。ちゃんと受け取りに行って来て下さいね、あと7




 そこでワタシがハッ!と思い当たったのが異世界旅の目的に直結した、桜の大樹での……あの言葉だったんです。


「確かそんな事も、サラッと言ってましたよねぇ……あのウサギさん」


 そう、此れこそあの時エロウサギ……もとい、神翼ミニウサギから口移し キス で貰った、新たなワタシの力のひとつなんです。




 それと同時に、ワタシは人間で在りながら未知の能力スキルに目覚める事になるんです!

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