第079話.グランプスへの処遇
「でも例え、考え方の違いは有ったとしても……別にピント団連合と張り合う気は無いですわ? 少なくとも、
フィリルが自己紹介を済ませた後、先程から気になっていたんでしょう……突然、くるっとワタシの背中に回り込んだんです!
そこでニックとフィリル、初めて目が合います。その途端……
『あ~~~っ!!!』×2
「久し振りね、おニクちゃん! “スナッサ峠”の神経沼で、白い巫女様とおニクちゃんに助けて貰って以来ですの」
【『おニクちゃん』はやめてー! フィリル、フェンリルウルフの血が入ってるだけに、ジョーダンに聞こえなーい!】
イヤーっ!イヤーっ!
ニックはフィリルの周りで、バタバタと羽根を全力で振り乱し右往左往します。ワタシは、そんなフィリルとニックとのやり取りを唖然として見てます。
「ニックさん、フィリルさんと知り合いだったんですか……? 道理で、先程からずっとワタシの背中に隠れてたんですね……!」
フィリルは、そんな逃げ惑うニックにニコッと微笑みました。
「大丈夫ですわ、おニクちゃん! 私、フェンリルウルフの血も薄っすーくしか受け継いでませんから『捕って喰ったり』なんて出来ませんの!」
そしてフィリルは長老さんに、最敬礼します。
「話は逸れましたけどジョセフ様、異乱分子の抑圧にご協力頂き感謝しますわ」
フィリルの才女ぶり、改めて舌を巻きました。この展開すら、既に折り込み済みの様です。
「ところで、ミント団とは荒くれ者の集団と聞いてたんじゃがの? 寧ろ、洗練されておるわい」
「イヤですわ、ジョセフ様♪ ミント団が荒くれ者の集団だったのは、私がチーフマネージャーになる前の昔話ですの」
そしてフィリルは自信たっぷりに、こう言い切ったんです!
「ワタシの世代でミント団の名を冠する事が許されるのは、この
どうやらフィリルは嘗てのミント団の悪しき慣習に大鉈を振るって、大改革を断行したみたいなんです!
「叩き出す元ミント団の組織は、グランプスが最後ですわ。これでピント団に負けない位、健全なグループになりますの」
では……とフィリルは長老さんに一礼します。
「この者達に関しては……キュルムの町に被害が出る前から、他の町村から同様の処罰依頼が来てましたわ。昔の栄華が忘れられ無かった、それ故の現当主の暴挙……憐れなものですの」
「ジョセフ様、幾つもの領域を跨ぐ為、5大陸を股に駆ける私達ミントセキュリティサービスが代理で処罰を与えたいのですが……」
フィリルはそう言い、長老さんにお伺いを立てます。ちゃんと筋を通す人ですね。
「もちろん、被害に会われた町村が全て等しく満足頂ける結果になる様に最大限の努力を致しますわ。宜しいでしょうか?」
長老さんは一礼をしてどうぞ、どうぞ、とリボンを付けるかの如く、フィリルに丁重にお願いしたのでした。
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