第4節. M.S.C.       ( アカリ視点 )

第077話.M.S.C.見参!

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【あらすじ】


 ちゃんと人間に絶望出来た事で、初めて女神への第一歩を踏み出せたワタシ。


 その頃、盗賊団グランプスのアジトではとんでも無い事態が起きてて。何と、知らない人達が乱入して来たんです!



【舞台】 スメルクト大陸


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 それと同時期、勝ち誇る様にワタシのキュイぐるみの腰元や尻尾の辺りをモフモフしてた……スケベ親父、もといリークの右手。



「待ちなさい、そこまでです!」



 その瞬間、階段の上から響いて来る……凛とした、透き通った声。この声、女性なの? でもリークを振り向かせるには、此れで十分です!



「内偵捜査の報告通りね、貴方達! 手のひらで踊らされてるの知らずに、やけに嬉しそうね?」



 すると階段から、バラバラバラと黒服の男達が事務所に降りて来て左右に展開します。顔は異世界の住人ですが、頭髪以外産毛が生えてないので人間みたいに見えます。



ボブムッ……!



 それと同時に、煙幕丸が投げ込まれます! 煙幕で、事務所内は視界が塞がれます! 体固めで拘束されてた長老さんの背後をスッと通り過ぎる影を、一瞬だけ認識出来ました。


 その直後……



ガシャン!

   ジ……ジジッ……

         ジャーッ!



 どうやら、事務所内のブレーカーが破壊される音だった様です!


 この音がしてから一瞬で事務所は真っ暗闇になり、破壊されたブレーカー付近の天井スプリンクラーからシャワー放水される音だけが響きます。


 長老さんと従者さんを拘束してた2人、流石は“傭兵スキル”所持者です。敵を相手にして選択したのは、「拘束」より『戦闘』だったんです。


 ワタシ、この隙を狙ってました。残った力で半身を起こして、水平蹴りでリークの足を刈ったんです!


「モフモフで止めを刺したハズなのに、何故だっ!??」


「キュルミーの弱点なんて、ワタシには効きませんよーだっ!!!」


 このエッチ!と言いながらリークに駄目押しの顎クイ♡を喰らわせ、後ろへ転ばせます。


 すぐさま拘束の2人組が外れた長老さんと従者さんへ、ワタシは無事ですと弱々しく笑いよろよろと寄り添います。



ドガッ……バキッ……!

   キンッ……キンッ……!



 暗闇の死闘が暫く続き、ブレーカーの補助電源で事務所が再び灯りを取り戻した時に広がってたのは……『グランプス』の構成員達を全て縛り上げた、黒服の男達の勇姿だったんです!


 また別の黒服さんグループは長老さんと従者さん、ワタシとニックを安全地帯に誘導して。手厚く、優しく看護してくれてます。


 膝枕をしながら、ワタシを優しく抱きかかえてくれて。ハイライトを失ってた目も、段々と力を取り戻して行きます!


 膝枕から漂う、鼻をくすぐる甘い匂い……女の人ですよ、看護してくれてる方の黒服さん達は!


 ちなみに現当主リークを始め『グランプス』の野郎達は全員透明色の、細くて丈夫な糸にぐるぐる巻きに縛られてます。


 リークは、身動きの取れないまま黒服の男達に吠えます!


「お前らは誰……いや、どうしてオレ達を……? 全員、『傭兵スキル』持ちの強者ばかりだったんだぞ……!」


 決して名乗らないかもと途中で悟り、咄嗟に聞き直します。するとリーダーさんはゆっくり顔を上げて、こう言ったんです。


「それはね、スプリンクラーのシャワーを利用させて貰ったのよ! シャワーを上から浴びれば一時的に臭いも消せるし、シャワーの音で足音だって消せるしね」


 その瞬間、ワタシは喉まで出かかった声を必死になって堪えました。何と黒服の屈強な男達のリーダーは、ニヤッと笑うといたずら仔ギツネ顔のうら若い女の子だったんです!


「オマエらね、余りにスキルが突出し過ぎてるのよ! だから、“音”と“臭い”に頼り過ぎるクセが自分らの知らない内に身に付いてしまってるの、お分かり?」


 リーダーさんは蹲踞そんきょの姿勢で座りながら、つまらなそうな顔してリークのおでこをツンツンと小突いたんです。









「流石はチーム『サンバ・ルカ』、仕事が丁寧確実ですね。偵察を依頼して、正解でした」



 その時、誰かがそう言いながら最後に階段を優雅に降りて来たんです。愛されわんこ顔ですが、女のワタシでも思わずポッ♡と見とれてしまう位ツルツルお肌の女性……一体、誰です?

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