第069話.メンヘラじゃ無いの
日本なら、謎を解いてハイ終わりって展開になるんでしょうけど。でも此処は異世界、そんな某アニメ的展開は通用しなくて。
下っ端二人組とは違う、危険な空気を纏う男。先程の下っ端2人組と明らかに違う、シャチみたいな毛皮を着込んだその風体。髪は無く、黒い目。そして、サメみたいな尻尾。
「オマエ、ココを誰の縄張りだと思ってるんだよっ!!!」
正に漁村の外でカツアゲしてた、3人組のひとりです! 因みに着込んでるシャチ、元はアダロと云う異世界水棲モンスターだそうです。
もしアダロもサメやシャチみたいな特殊な形状の皮膚を纏ってるとしたら。もしかして、アダロの毛皮を身に纏ってる理由って……?
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ちょっとだけ、時間を遡りますね。それはまだ北の漁村を、ニックと2人でぷらぷら歩いてた時の事です。
【盗賊団『グランプス』はねー。戦闘経験値を上げるほど戦闘力が増すスキル『傭兵』を持つ、現在唯一の集団なんだー】
潜入調査を開始する前、キュルムの町でニックからレクチャーして貰ってました。それを最大限に活かせるのが、身に纏うアダロの毛皮だって。
そのスキルが有るから、『グランプス』は今も数多く存在してる盗賊団の頂点に君臨する「雄」なんだそうです。
最近ブイブイ言わせ始めた新興勢力の『メフィスト』とは違い、真に力ある者は決して表に立つ事はしません。
力を誇示せずとも睨むだけで全ての盗賊団が黙り、凍り付くんですから。
【でも……『グランプス』が現当主の代になってから、何かが変わっちゃったみたいよー】
ニックはそう、言ってたんでしたっけ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
そんな会話が有ったから、ワタシにはどうしても1点だけ、気になる処が有りまして。
「アナタ達の自慢のスキル、確かスキル『傭兵』でしょ? 絶対的優位に立ってるのに、かつて盗賊団の“雄”と呼ばれた誇りは無いんですか?」
ワタシ、はぁーっと大きく溜め息をついて。瞳のハイライトが消えたみたいなジト目で、その男を睨み付けます。
「きぐるみを着たキュルミーの女の子達をですねぇ、まるで“
コレって絶対……あーんな事やこーんな事をされるパターンですよね?……最終的には、身体に焼印を押されて奴隷として売られて……
ドナドナドーナードーナぁー、仔牛を乗ーせーてぇー……
はぁはぁ……敵地の真っ只中で、ナニ妄想をスパークさせてるんですか? 闘うより、人命救助が優先でしょ? 落ち着きなさい、ワタシ。
「正気か? 大丈夫か? あの……だな……」
あ〜ぁ、『グランプス』の男にまで心配されちゃいました。 ……へっ、ワタシ? メンヘラ女では有りませんよ???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます