第065話.階段を降りた先には

 今の壁ドン♡で床の巨大な魔方陣が綺麗サッパリ消滅したので、中央の階段へ行ける様になったみたいです。


 ニックは、ワタシに問い掛けます。



【お姉ちゃん、今の出来事でどう云う事が立証出来たと思うー?】



「もしかして……ワタシが編み出した“胸キュン♡流格闘術”って全部、拳に光属性魔法を纏わせた……光属性攻撃だったって事ですか?」



【そのとーりー! さすがお姉ちゃん、カンが鋭いねー!】



「では、何で魔法なんて存在しない筈の日本から来たワタシが……地上界で魔法が使えたんでしょう?」



【たぶん、お姉ちゃんに半分“女神”の血が入ってるからなんじゃなーいー?】



 えっ、こんな所にも“女神”の血の影響が出て来ているんですか……? 階段を降りようとして、アカリはふと立ち止まってニックに聞きます。


「ねぇニックさん、地下室には何があると思います?」



【まぁ、階段の前にあんな魔方陣を用意する位だからねー。気を引き締めてかからないと、危険かもだよー!】



「ニックさん、お願いが有るんですけど……ワタシは此処で見張って様子を伺いますから、長老さん達を連れて来て貰えませんか?」


 『ここで見張ってる』って嘘でも・・・言ってあげないと、ニックの事だから心配して意地でも付いて来てしまうでしょうから……でも、やっぱり援軍は欲しいです。



【んー、分かったよー! だけど、無理はしないでねー】



 ワタシとニックは互いにコクンと頷き、ニックはくるりと回れ右して、民家から外へ飛び出して行きました。ワタシは階段を降りて、地下室へ向かう事にします。











ポチョン……ポチョン……



 階段を降りた先に、広がってた世界。それは余りにも無機質で……掘った跡をそのまま残した、狭い地下トンネルだったんです。


「うわ、歩き辛いですね……」


 しかも地下なので陽の光は挿し込まず、凸凹もそのままなので歩き難い事この上無いです。そして頭と同じ位の高さに、壁沿いに水道管が走ってます。所処、漏れた水滴の音が聞こえるんです。




 そして、暗いので気付き難いのですが……この地下トンネル、真っ直ぐでは無く少し湾曲してるみたいなんです。


 その為か、地下トンネルに降りたばかりの時は分からなかったのですが、ゆっくり進むとやがて突き当たりが見えて来て。



「どうやら、此処で行き止まりだったみたい……えっ???」


 その奥は、少し明るくなってたんです。いえ、どうやら光が漏れてる・・・・・・って表現が正しいみたいですね。其処に広がって居たのは……

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