第057話.皆で大浴場へGO!
てふ、てふ、てふ……
「こちらが今夜、お泊り頂く部屋なのじゃ」
長老さんの世話係のばあやさんに連れられ、ワタシとニックはある一室に通されて。
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ばあや、とは良く敬称として使われます。
でもワタシ、長老さんを自分のお爺ちゃんみたいに感じてて。そんな長老さんが一番大事にしてる世話係をワタシに充てがってくれたんです。
親しみを込めて、ばあやさんって呼ぶのはワタシ的には当然の流れで……
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しかもばあやさん、気の利く事にワタシ達だけで無く、かぐら座の弾き子の皆さんも同室にしてくれたんです。
「大浴場の準備も出来ておるでの、そこのスメルクト麻で出来た浴衣を着んしゃいな。旅の疲れをゆっくり取るが良かろうの」
ばあやさんのご厚意に甘え、皆でキャイキャイと着替えて大浴場へ。どんな浴室でしょう?
この地上界の大浴場は何と、露天風呂みたいな組み石浴槽だったんです! しかも四方は竹を組み上げた柵で、プライバシー保護は万全です。
「まさか異世界に来てもお風呂に入れるなんて、思いもしませんでしたぁ」
「こうしてゆっくり足を伸ばせるなんて、ホント久しぶりですわ」
そう言って、ワタシとリーダーのお姉さんは互いに顔を見て微笑み合います。
「此処の名産はスメルクト麻での、特にこの麻のタオルに石鹸を含ませるとの……」
そう言ってばあやさんが麻のタオルで石鹸を包んで、お湯を掛けて少し擦り合わせるだけで……きめの細かい泡が次から次へと!
「お肌もスベスベになるし、洗顔にも一番適しておるんじゃよ」
因みに他の素材では泡のきめ細やかさも、此処まではならないそうです。でも此処には洗顔後の美容液、無いんですかね?
ちなみにその時、ニックは一体何をしてたかと云うと……
ばあやさん、慣れた手付きでたらい桶を持って来て浴場に直置きし、そこに氷を一杯に満たしたんです。そして、ひょいっとニックを摘んで持ち上げて氷の山の上へ。
シュウ……シュウ……
ニックの体躯から燃え盛る紅い炎で氷の山が少しずつ蒸発して、たらい桶に水蒸気の白い煙が充満して行ったんです。
ふぃ~っ……♡
見て、ニックの恍惚の表情! ニックったら、余りの気持ち良さに顔がへべれけになってくのが分かるんです♪
みんなでお風呂を堪能し、部屋に戻って次は夕食の時間です。ワタシ達の目の前に、美味しそうな料理が並びます。
「食欲を唆る、美味しそうな匂いが立ち込めてますね。後は味です。外国の料理だからって事で、日本人のワタシの口に合わなかったものも過去に有るには有りましたが……」
この異世界、地上界の料理はどうでしょう?
ぱく。
『んまぁ〜い♡♡♡』× 全員
不覚でした、ワタシもニックもかぐら座の皆さん達も全員、振る舞われた料理に胃袋を掴まれてしまったんです(笑)
恐るべし、ばあやさん。
その後、ワタシは初めての異世界旅の疲れですぐ泥の様に眠ってしまったんです。
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