第056話.能ある鷹は爪を……
ニックは思わずククク……と笑いながらバサッと片翼を広げます。ワタシにも、たったひとつ思い当たる節が有ったんです。
いえ、此れしか思い当たる節が有りません!
「えぇ。もしかして、この『かぐら座』の弾き子さん達が拐われてたのを助けた時に軽
……???
今のワタシの話を聞き、今度は長老さんを始めキュルムの町の人達の方が目を丸くしてズッこけます!
「今の話……本当なのかの?」
【うん、ホントだよー♪ だったら、ちょいと向こうの森の中で皆ノビてるから、見に行ってみたらー?】
「すまぬ、誰か森の様子を確認しに行ってくれんかの? 但し状況証拠の重複確認、安全確保の為必ずツーマンセルで見に行くんじゃ」
長老さんは脳内会話のニックの言葉の真偽を確かめるべく、ニックの言った場所に町の人を向かわせたんです。
まさか、こちら地上界でもクロスチェックの重要性を知ってる人が居たなんて……
でも弾き子の皆さんの瞳には先程から、意味不明に映ってるのでしょうね……長老さまの
【だってテレパシー、出来ないんだもーん♪】
うふふっ、皆さんの頭の中には……さぞ「?」の嵐が吹き荒れてる事でしょうね。
数刻後……その場へ向かった人達、口をパクパクしながら帰って来たんです。
「長老さま、言われた通りの場所で『
「しかも、切創痕も打痕も無かった模様です!」
という事は、武器も何も持たない徒手空拳でヤツらを全滅させてる、って事ですね。長老さん、再びワタシの手をニギニギします。
武器を握ってない、キレイな手に隠された
「奇しくも、ワシらが懇願する前にひとつ願いを叶えて下さっておられましたか」
長老さんはそう言い、深くお辞儀をしました。
「明日の定期訓練で闘い方、教えを請う立場は逆にこちらの方だったの。本当に済まなんだ、感謝するわい」
ワタシの見た目の全体的な線の細さに、これから先の旅を本当に生き抜いて行けるのかどうか不安視してたんでしょう。
「って事は……もしワタシの実力が伴って無ければ、ココから先の旅を全力で止めようと……?」
長老さんは、アカリの肩をツンツン!と突っ付いて言いました。
「そうじゃの。これから先の過酷な旅……か弱い
そう言いながら長老さんは、本当に安堵してる様に見えました。まるで、本当にワタシを娘として見てくれてるみたいに。
「では、今のワシに出来る最大のもてなしをするかの。ワシの家で、ひと晩寝ると良いわい」
そう言いながらパチン!と指を鳴らすと、老婆がよぼよぼと寄って来て。
「この者は、ワシの身の回りの世話係をしてくれておるばあやじゃ。客人は女子じゃ、ワシよりよっぽど適任じゃろて」
確かに女性の諸事情は同じ女の立場の方が、ばあやが一番適任ですよね。『最大のおもてなし』って言葉、伊達では無くて……
あのニックが、ばあやにゴロゴロ甘える位ですから。ワタシも、
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