第063話.魔法陣が誘ってます
現在、全力
だって、こう言っては何ですけど、盗賊団『グランプス』って『メフィスト』なんかより遥かに強いオーラ、出しまくりですもん!
日本で神気を自由自在にコントロールする訓練をしてた所為かワタシ、オーラみたいなものにも敏感になってたみたいですね。
後ろを向いたニックがフェアリーバードの嘴でワタシのキュイぐるみの耳をカプッと加えてクイクイ引っ張ります。
「ど……どうしたんです、ニックさん?」
【お姉ちゃん、あの民家を見てー!】
ワタシがそちらの方に振り向くと、先程とは別の盗賊団の野郎共2人がその民家の前で、これでもかって程左右をキョロキョロキョロ……と見回し、細心の注意を払って中へ入ったんです。
その民家は窓がカーテンで隠されており、中の様子を窺い知る事が出来ません。
【お姉ちゃん、コレってあからさまに怪しいよねー? 何かドキドキするのー!】
ニックはさっきまでの恐怖は何処へやら、悪戯っ子っぽくニッと笑います。あ~ぁ、ニックったら…… 余計な事を……
「絶対に何かありそうですね……!」
どうやら、ワタシも盗賊団『グランプス』への恐怖よりドキドキ感の方が勝ってしまいました。若さ故……なのでしょうか?
【行っちゃおーよー!】
ワタシとニックは、お互いに目と目を合わせて同時に頷きました。そして村の外でひなたぼっこをしていたオオトカゲを、ひょいと捕まえます。
「今日の偵察役はアナタ、お願いしますね!……髪フゥ♡」
頭をナデナデしながら、気で精神を支配した偵察トカゲを先に民家の中に放ちます。キョロ……キョロ……と辺りを窺いながら、偵察トカゲは階段を降りて行きました。
目を閉じて、ワタシは気の繋がった偵察トカゲの視界を通して中の様子を感じ取ります。
「どうやら大丈夫そうですね……さぁニック、中に入りましょう!」
そして偵察トカゲの目からの映像を元に、ワタシとニックは盗賊団の野郎共2人を追いかける様に民家の中に入りました。
民家の中は薄暗くて、天窓からワタシの背中に射し込む逆光により反転して見えます。
家具も何も無い部屋ですが、床一面に広がる巨大な魔方陣が。遠目から、魔方陣の中心に階段が見えます。地下へと続いてるんでしょうか?
たぶんこの民家は、この巨大な魔方陣と地下室を隠す為のカムフラージュなのでしょう。
「だけど何で、こんな小さな漁村に此処まで大掛かりな魔法陣が……?」
そんな事を考えながら、ワタシとニックは巨大な魔方陣を見つめます。でも只見てるだけでは、何の解決にもなりません。
でも此れって、余りにもあからさま過ぎるんですよねぇ。ニック、どう思いますか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます