第062話.ヤバい盗賊団ですね

 ワタシとニック、2人で漁村をぷらぷら散策してると……何だか漁村の中央で、トラブルが在った様です。


 乾物らしきものを屋台で売り捌いてた男の人を3人組がぐるり囲う様に詰め寄って、何やら大声で捲し立ててます。


「ニック、あそこ見えます? チラッとシャチの頭が……」


 よく見ると、全員シャチの毛皮を被ってるんです。どうやら3人組は皆、盗賊団『グランプス』の団員みたいですね。


 相変わらず大声で捲し立ててたので、気付かれない様にそろ~っ……と近付いて。会話の内容に聞き耳を立ててみます。




✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



3人組A・B・C:

『おいっ、乾物商ぉ!!!』×3


乾物商:

「は、はいィィッッッ!」


3人組A:

「ギルドに属す事が出来ねぇ『はぐれ商人』のオマエの代わりに巨大なシマ、“乾物の横流しルート”を構築してやったんだぜぇ? それなのに、まだ成功報酬を貰ってねぇーんだよなぁ!」


3人組B:

「確かに乾物って高値で取引されるブツだから、オマエみたいな『はぐれ商人』が後を立たねえんだよなぁ。それだけ羽振りが良けりゃあ、すぐ払える筈だよな……ピンハネは許さねえぜぇ?」


3人組C:

「『闇』の取引は、裏の世界に生きるグランプスの独壇場なんだよぉ。返答次第じゃ新しいこのシマごと、オメェも潰して沈めちまおうかぁ?」


乾物商:

「うぅ……払いますよ、もう。こっちに来て下せぇ……」



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 でも流石に、あれだけドスを効かせる様に大声で喚けばこれだけ離れてても良く聞こえますね。実際に見て会話を聞いて、分かったのですが……


 3人組は全員、大柄でゴツいんですけど。ひょっとしてプロテインみたいな何かを常習的に飲んでるんでしょうか?


 盗賊団『グランプス』って、昨日相手した『メフィスト』なんてメじゃない位……“野盗集団”とかそんなチンケなレベルどころの群れでは無い、ヤバい感じです!


 それどころか、ココにいる3人組はみんなプロの傭兵の様な恐ろしい気を纏ってるんデスけど! しかもそうして金を吸い上げてるお陰で、市場にはあまり物品が流通出来て無いみたい……


 この盗賊団の実態を把握したワタシは、恐怖で思わずブルッと身体が震えました。でもニックは、さて何処吹く風?って涼しい顔して。




「今は様子見、諜報活動の時間ですから……ね」

【ですからー♡】



 ワタシとニックはコクンと頷き合い、そっとこの場から立ち退こうとしました。でも……?

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