第049話.心を揺り動かすもの

 暫く聞いている内にワタシも何だか楽しくなって、気付いたら……自然と笑ってました。


 ニックも目を大きくしたまま楽器の音に合わせて、おっとっと♪おっとっと♪とお尻フリフリ踊ってます。


 それを見た弾き子4人にも笑みが溢れます。皆で、笑顔の「大合唱」です!


 すると、流れて来る楽器の音色に吊られたのか……気が付いたら、町の人達が全員家から外に出て来て居たんです。


 そして、次々に中央の広場に集まるではありませんか。でも何で、全員“きぐるみ“着てるのですか? 見様によっては、かなり異様な光景です。



 弾き子のお姉さん達は、楽器を静かに弾きながら話してくれました。



「先程のお話の続きなのですが……天界の扉の奥に隠れてしまった“太陽の女神さま”を、どうにか外の世界へとお戻ししようと」


「それぞれの種族から選抜された7人の弾き子達が、天界の扉の前で体力の続く限り楽器を演奏し始めたんですわ」


「正に命を賭した、魂の演奏だったらしいですわ。すると、その曲に合わせてアムタラ様も天界の扉を開けて外に出て下さったんですの」


「アムタラ様の“太陽の様な”ご威光は真っ暗闇だった地上界を七色の光で満たし、シノヰ様は遂に漆黒の暗闇ごとと呼ばれる別の世界へと封印されてしまった、って話なんです」



 お姉さんの話を聞き、直感しました。この『アムタラのお話』において、“7”って数字はとても重要な意味合いを持つのでは無いでしょうか?


 特に『7人の長老達』とか、何処かで聞いた事がある様な……











 ふーんとワタシが聞いていると、ふとお姉さんがこう聞いて来ました。


「ね……このお話、今の状況に似てません? 旅のお方、アムタラ様は何に吊られて天界の扉を開けて外に出たんだと思います?」


 んーとね……ワタシは、お姉さんからの問いに首を傾げながら答えます。


「扉の隙間から漏れ聞こえる、“楽器の音色”……ですか?」


「いえ、アムタラ様を揺り動かしたのは“楽器の音色”などではなく、実は……」


 と言いながら、お姉さんはワタシのほっぺをツンツンと優しく突付いたんです。


「実は、楽器の音色を聞いた“人々の笑い声”だったんですわ!」


「つまり町の人達を中央の広場に呼んだのは私達が弾いた楽器の音色じゃなくて、旅のお方の笑い声を聞いて皆出て来てくれたんですの!」











 なるほど、そういう事ですか!


 すると、お話に出て来た『7人の長老達』がたぶん……現在の『7世界の王』の起源になってるのでしょうか?

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