第044話.怪し過ぎる謎の一団

 ワタシとニックはかぐら座のお姉さん達と行動を共にして、今居る場所から小高い丘を迂回する様に移動を開始します。



ぱたぱた、ぱたた……



 ん、どうやらふよふよ空飛ぶニックが……移動した直後に小高い丘に姿を現した、大樹のうろを覗う一団を見つけた様です。



ちょんちょん? こくん。



 ニックとのアイコンタクト、完璧です♪


 かぐら座のお姉さん達の前で、ワタシはスッと腕を横に上げて。お姉さん達を静止させて、手のひらでくいっくいっと呼び寄せます。


 お姉さん達も只ならぬ空気を感じ取り、音を立てずにそろりそろりと近寄ります。ワタシは無口で、ちょんちょんと例の一団を指差します。



 クセがスゴい一団……ロックオン♡



 ちょっと面白そうなので、みんなで茂みに隠れ覗いてみる事にしましょう♪











「よしっ、行動を開始するゾッ!」


『おぉーっ!!!』×2



ズ……ズザザザ……ッ!



「突風が来ても仁王立ちで動じない、最高にクールな漢達!」


「突風が来てバタバタと靡くレインボーマフラー!」


「繰り出せ鼻息! 旗めけマフラー!」


 3人が格好良くポージングを決めて、最後にビシッとキメ台詞で!


「3人揃って、『サンバ・ルカ』!!!」



シャキィィィンッ……!!!



 どこからともなく“謎の効果音”が流れた瞬間、タイミングを合わせたかの様に緑色の爆薬が背後で炸裂します!



ドカァァァンッッッ!!!



……豪快でクールな登場シーンです!


 しかも、コンビネーションもバッチリ。日頃から、相当練習してるんでしょうか。その証拠に全員同じレインボーマフラーを首に巻いてます。


 マフラーの端、一番バタバタする部分には団員の証、黒下地に緑のウサギのステッカーを縫い付けてます。しかも“手縫い”で……でも残念ながら、バタバタ靡く所為で全く見えませんが。











 まずは、今日のお仕事の依頼を全員で確認するみたいですね。


 遠く茂みから覗くので、ナニ言ってるか分からないって? 心配ご無用です、この人達は全てに全力。声が馬鹿デカくて分かりやすいです♪


「よしっ、今日の仕事は“ビンゴブック”に載ってるブロンズリスト集団、盗賊団『メフィスト』の殲滅だな!」


 3人組のレッドが、号令を掛けます。


「ブルー、グリーン、みんな散らばるぞ! レディ・セ……」


 ブルーが右手をバッと横に広げて、慌てて静止して冷静に辺りを伺います。


「ちょ、ちょっと待てレッド! 何か様子がヘンだぞ……?」


 グリーンが両手を腰に回して、のほほーんとすまし顔で答えます。


「コレは明らかに、誰かから襲撃を受けたって感じだよねー♪ ホラ、あそこに倒れてるの保護対象の“異世界民”じゃないのかい?」


 グリーン、向こうで倒れてる下っ端盗賊2人を指差しそう言います。


「あっ、こっちには“ビンゴブック”のブロンズクラス、闇討ち兄弟で有名な『辻斬りチーゼルズ』が泡吹いて寝てるぜ!」


 ブルーは、別の場所で2匹のリザードマンを見付けます。


「おいコイツ、ブロンズリストの『剛牙鎚 オーガ のディッツ』じゃないか! 確かに、盗賊団『メフィスト』が全員ノされてるな……」


 最後に、レッドが大樹の根元で頭から血を流してノビてる『メフィスト』の親分を発見します。


「最近もオレ達の同業者を返り討ちしたばかりの“札付きのワル”共……一体何が在ったんだ?」




 激戦や劣勢を覚悟し、それでも負けは許されないと思って。コンビネーションに重点を置き、特訓を積み重ねた上でこの戦場に来てみたら……


 闘う前にターゲットは、既に全滅してたんですから。

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