第043話.未踏の地、未開の地

 次に、地図の端に点在してる3つの大陸の説明に入ります。


「まず、左下の大陸は“スメルクト大陸”って言います。現在、大陸も此処ですわ」


 へぇ、今私達が立ってるのはここら辺なんですね。分かりやすい様に、現在地の矢印が欲しい所です。


「此処はとにかく伝承が多くて、分からない部分が多いんですわ。その中でも昔から良く聞かされてたのが……」




✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



・『天を突き破る巨山の遥かなる頂に、“神獣たちの幻郷”なる場所が存在する』

・『近付いた者の五感を全て奪い尽くす“魔の沼”が存在する』

・『決して眼に映らない“透明なドラゴン”が、人を乗せて飛び回ってる』



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼




「……この辺りが結構有名な伝承ですわ。誰もそんなものを実際に見た事も聞いた事も無いし、本当に存在するかどうかもマユツバ物ですよね」


 それを聞いて、ニックは喉の奥まで言葉が出掛かります。余りにも冷や汗が出過ぎて、出て直ぐ蒸発する繰り返しですよー?


 ふふっ、その顔は嘗て行った事有るんですね。それでも何とかゴクンと呑み込んで、素知らぬふりをしようとして。



「そして、右下にあるのが“魔法大陸マガンティ”って言いますの。未踏の地で見る事も叶わない、“幻の大陸”なんて呼ばれてますわ」


 お姉さんはニコッと笑いました。ワタシが何気にチラと隣を見ると、困った顔したニックが。この大陸に関しては、ニックも知らないんですね。


「それが何故かは……自分の目で確かめて見た方が面白いかも知れないですね。でも『見る事も叶わない』ってあるけど、でも確かにそこに大陸は存在してますのよ」


 そして、お姉さんは地図のある部分を指差して言葉を続けます。


「だって、地図にちゃんと表記されてますわね? それとこの地図、よぉく見てご覧なさって?」


 そこまで言われると……行きたくてうずうすしちゃうじゃないですか。


「何故か、この大陸だけちょー薄く“影”が描いてあるでしょ? それが、お姉さんからのヒントですわ」


 しかも“魔法大陸”ってあるから、まさか魔法が関係してるんでしょうか……?











「そして、最後に残った左上の大陸が“デルジア大陸”って言いますわ」


 さぁ、一番最後に残った5つ目の大陸の説明……なんですが……


「悪いのですが……この大陸は“暗黒大陸”、全てが未開の地で何も分かって無いんですの」


 スゴい“いわく付き”の大陸ですね! 武器防具、戦闘スキル、経験値、全てが充実する一番最後に巡るべき大陸です!


「色んな国が『調査団』を派遣してこの大陸に送り込んでいるんだけど、誰も帰って来ないんですわ……」


 旅の最終目的地になりそうな予感です……って、ゲームのやり過ぎ……ですか?


 そして、リーダーのお姉さんはニッコリと微笑んで最後にこう付け足しました。


「私達『かぐら座』は、魔法大陸マガンティ、デルジア大陸を除くほぼ全ての国と地域を隈無く渡り歩いていますわ。ひょっとすると、また何処か別の地域で再会出来るかも知れませんね……」











 ワタシは地上界の事について教えて貰い、世界地図までプレゼントして頂きました。



「“弾き子”の皆さん、この辺りはまだ異世界の住人が居るかも知れないのでワタシと最寄りの町まで行きませんか?」


「あっ、すみません。旅のお方、宜しくお願いします。あちらの方角ですわ……」



 そしてワタシとニック、“弾き子”の皆さんの計6人で町に向かって歩き始めたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る