第042話.数少ないパパの足跡
ワタシとニック、そしてかぐら座の弾き子の皆さん。全員で、側にあった大きな木の切り株へ移動します。
リーダーのお姉さんは、胸元から折り畳んだ世界地図を宙に放り投げ、ファサ……と大きな切り株の年輪の上に広げたんです。
「まず、この世界を私達は通称で皆『地上界』と呼んでますの」
さぁ、この世界……地上界で世界地図は、どんな形をしてるんでしょう?
リーダーのお姉さんが、大きな地図を順番に指差しながら説明します。
「見てお分かりの通り、この地上界は5つの大陸に分かれてますの」
ワタシもニックも物珍しそうに、指差す地図を見下ろして。地上界の言葉で表記されてるので、ニックに理解を手伝って貰います。
「地図の真ん中に右斜めに連なって2つ、そして左上と右下、左下にそれぞれ1つずつ。これで合計5つですわ」
ふんふん、とワタシとニックは地図を見て指を差しながら確認します。1、2、3、4、5……確かに5つですね。
「まず、真ん中にある2つからですわ。右上に在るのが“アルカディア大陸”と呼ばれてますの。この大陸には、『転移者』『転生者』の人達を保護する目的で造られた、皆で身を寄せあって暮らしてる里が有りますわ」
そうですね、この里に行けば“女神”の事や“キュルミー”の事が地上界外の第3者目線でより詳しく分かるかも知れません。
流石にお姉さんもワタシが『転移者』である事を知ってるので説明もゆっくり、ワタシが理解出来るまで待っててくれます。
「もし旅の道標がまだ見つからないのでしたら、まずこの大陸を目指してみるのも手かも知れないですわね」
そして本当にこの里に『転移者』が居るのでしたら、ひょっとするとパパの足跡もたぶん其処に在るかも……
せっかくこの地上界に来たんです。パパの足跡が分かるのなら、パパがこの世界に来て、何を為したのか……辿ってみたいです。
「そして、左下に見える大陸は“トンポイ大陸”って呼ばれてますの。兎に角、此処は海岸線が多くてバカンス目的で観光に来る人が多いですのよ」
うわぁ、ニックたらお姉さんのバカンスってひと言を聞いた途端……瞳が宝石の様にキラッキラに輝きます。
「私達かぐら座も、この大陸に呼ばれる事が一番多いですわ」
うわぁ……行ってみたいですね、観光地。冒険に疲れた時とか、此処に立ち寄ればリフレッシュ出来そうです。
「因みに“アルカディア大陸”と“トンポイ大陸”の間には、巨大な大橋が在りますの。両方の大陸から自由に行き来出来る様になってて、通行料は確か取られなかったと思いますわ」
この2つの大陸、互いに繋がってる様ですね。でも、他の3つの大陸はちょっと距離が離れてます。どうやって行けば良いのでしょう……?
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