第1節. 霧楼の町    ( アカリ視点 )

第040話.きぐるみ女神の神話

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【あらすじ】


 日本から地上界へと降臨して早速、誘拐されてた町娘達を救出したワタシとニック。


 降臨した先はスメルクト大陸、そこでは2つの団体が考え方の違いで衝突を繰り返してるみたいです。



【舞台】 地上界 ( スメルクト大陸 )


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 ワタシは盗賊団『メフィスト』のメンバーを全員笑顔でちのめして、無事にニックの許へ戻りました。


 すると、大樹のうろに隠れて様子を見てたのでしょうか……盗賊団に捕らえられてた町娘の皆さんが4人とも、手と手を繋いでゾロゾロとアカリの許に駆け寄ったんです。



「すみません、助けて頂いてありがとうございます!」


「本当に、私たちもどうなるかと生きた心地がしませんでしたわ」


「あっ、ワタシも……わひゃぁっ!」


「有難うござ……えっ、その鳥は!?」



 ニックを見て皆さん、4者4様の違う反応を示してるんです。別に、驚かすつもりは無かったんですけど……


「大丈夫です、見ての通りこのコは人畜無害。ご主人さま大好きっ子な甘えんぼさんですから。なので皆さんに危害を加える事、一切無いですよ」



【だけど、イタズラっ子になる時は有るんだけどねー♪】



 ワタシはそっとニックに寄り添い、耳許でヒソヒソとこう囁きました。



【ニックさん、意思疎通の方法は脳内会話で事足ります。町娘の皆さんには鳥の鳴き真似で、お願いします!】



 ニックは、コクンと頷きました。そして町娘達にひと言発して、頭を垂れたんです。



【えーと、普通の野生のフェアリーバードらしく、と……】



「く、クェ……」


 それを見て安心したのか4人とも、もふもふとニックの頭を撫でてくれました。でもニックったら、もふもふに若干慣れてないみたいで……



【うひゃあ! お姉ちゃん、何だかムズムズしちゃうよ、コレ……】



 ふらふら涙目になりながら、脳内会話でワタシに訴えます。特に頭をわしわしされるの、初体験だったみたいですね。











 それにしてもあの窃盗団、異世界の住人と人間が共存してましたよね?


「人間が、普通に生活して……此処ってどんな世界なんですか?」


「此処は、きぐるみを着た女神が全てを等しく愛する世界……『キュルミー神話』が伝承されてるんですよ」


 此処で、ひとつの疑問が湧き上がります。


「あの、すみません……」


「えっ、何ですの?」


「キュルミーって……何なんですか?」


 ずるっ!とズッこける、4人の町娘さん達。へぇ、異世界でも“吉本新喜劇”のお笑いは通用するんですね♪ メモ、メモっと♡


「キュルミーは別名『獣着師』、きぐるみを着て闘う人達の事を言うんですの!」


「まさか旅のお方、それに気付かず着てたんですか?」


 だってママ、それについて説明は何も無しだったんですもの。



【此処ではきぐるみを着る事で、全ての種族が女神さまに等しく愛されるって信じられてるのー】



 町娘の皆さんは恭しく、丁寧にペコリとお辞儀してくれて。1人ずつ自己紹介を始めたんです。


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