第022話.血は争えないですね

 ワタシとママとでは、パパ……あの人への対応の仕方に大きな差が有ります。だって今迄生きて来た中でワタシが肉親と呼べるのは、ずっとママだけだったんですから。


 でも、初めてパパを名乗るあの人を見て、疑うより先に涙が溢れて来て……正直ワタシ、戸惑ってます。どうして?



【いやー、『危険』冒してまでニックを通して通信を図ってみて良かったよ……】



 パパの言った『危険』というセリフが気になりましたが、何気に今はこれ以上聞かない方が良さそうな気がします。



【それと、キョウコママの事なら心配ねぇぞ……お前が思ってる以上に強いから、ママはさ。それと……オレからも少しイイ話を教えてやるよ】



 そしてこの次の言葉が、今回どうしてもパパがワタシに伝えたかった内容だったんです!



【今から言う事を落ち着いてよーく聞けよ、アカリ。『大天使』と他の種族、または他の種族と『女神』……どちらの場合で生まれた子供でも男の子の場合は『大天使』に、女の子の場合は『女神』になるんだ……】



 え? どういう事なんですか? ワタシ、その言葉の真意が分からなくて。いきなり『大天使』とか、『女神』とか言われても。でも……



【そしてアカリは、『大天使・・・』であるオレとママとの間に生まれた女の子なんだ……】



 この時初めて、自分が頬を涙で濡らした意味を理解しました。理屈では無く、直感的に。


 確かにワタシ、パパとの繋がりを感じました。あの日、夢で見た大きな桜の木みたいに。あの人のココロの中にも……何かの・・・大樹の姿が。



 でも、ママの中には……











 そしてパパは声のトーンを落として、ワタシに聞いたんです。



【アカリ……オレに会いたいか?】



 次の瞬間、ワタシは頬を涙で濡らしたままパパに即答しました!


「……はい!」



【なら会える為のヒントをひとつ、教えておいてやるよ。『神の証を手に入れろ!例え全て失なう事になろうとも』ってひと言さ。オレにどうしても会いたいなら、決して忘れるなよ!】



 だんだん、パパの声にノイズが混ざって聞こえて来ます。



【それが何を意味するか……アカリなら……分かるな。ちょっ……もう妨害電波に……捕まっちまったのかよ。アカリ……パパに会いに……『天界』へ来い……待ってるぞ……】



 やがてパパの声はノイズに遮られ、殆ど聞こえなくなってしまいました。




ツーツーツー




 それと共にニックの口からは雑音しか聞こえ無くなり、それと同時に通信魔方陣もホログラムごとスーッと消えて無くなったんです。


「ニックさん、大丈夫ですか?」


 通信し終わったニックは力を使い果たし、仰向けのまま脚をピクピクしてます。ニックは一体、無事なんでしょうか?











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【う・ん・ち・く♡】3大神族の秘密



 『大天使』『女神』『魔神』を3大神族と呼び、大多数の異世界の住人とは異なる生態系を生きてます。


 その最大の特徴は『大天使』は男しか、『女神』は女しか存在しない事。どちらの場合も、子供は祝福されて産まれるのですが……


 稀に祝福されず、呪いの中産まれ落ちた『禁忌の子』も存在します。神族としての素養は有るので、冥界に堕ちる事も無く……魔神として生を受けるのです。



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