第023話.女神、ですってぇ?
ワタシは魂が抜けた様に急にピクリとも動かなくなったニックが心配で心配で、心中穏やかでは有りません。
「あの……ニックさん? 起きて下さい、ニックさんってば……?」
つん……ツンツン……
「朱璃、ニックは皆の代わりに大役を果たしてくれたの。パパの声を届ける、って大役をね。だから、ニックをそっと寝かせてあげてね……」
ママは優しく、ニックの頭をイイコイイコしてあげました。そして、徐ろにワタシの方へくるりと向き直ります。
「朱璃、大事なお話があるの。今パパが言った言葉の意味、分かる?」
えーと……とワタシは人差し指を顎に当てながら考えます。
「『神の証を手に入れろ!例え全て失なう事になろうとも』……でしたか?」
ママは、ふるふると首を横に振りました。
「いえいえ、そっちじゃ無くて。残念ながら私も見当付かないのよ」
神の証……何の事でしょう? 全て失なう……どうして? ワタシも、メッセージの真意は皆目検討が付きません。
そっちで無いのでしたら……
「ワタシが『大天使』のパパと、『人間』のママの間に生まれた女の子……の方ですかね?」
そしてママは瞳を閉じて……少し俯きます。暫しそのままの状態から再び瞳を開いて言い放ったんです!
「パパの言いたい事は、つまり……アナタは『女神』なのよ、朱璃! って言うか……正確に言えば“
ママのこのひと言に、ワタシは我が耳を疑いました!
確かに、パパのココロの中にワタシと同じ大樹を感じ……血の繋がりは認識出来ました。でも、其れと自分のアイデンティティは別問題です!
今も女子高生として、毎日楽しくアオハルを謳歌出来るのも。ママと2人、清貧な生活だけど満足出来てるのも。
全ては、人間としての幸せを享受出来てるからこそ。此れがワタシの、人間としてのアイデンティティ。
ふる……ふるふる……フルフルルッ!!!
「要するに、ワタシには……『女神』サマの血も半分入ってるって事ですか? 巫山戯ないで下さい!!!」
人間の女の子が、ある日を境に『女神』として共に闘う仲間達と生きる事を余儀なくされるというアニメを、ワタシも見た事有るのですが……
“神衣”を纏って闘うその子を見て、あくまでこのアニメは現実には有り得ないフィクションだと今まで割り切ってました。
だから、ワタシにとっていきなりママから宣告されたこの現実は……とてもでは有りませんが、そのまますんなり受け入れられるモノでは無なかったんです。
「この世に居ないって思ってたパパが、実は生きてて『大天使』って神サマでした? 余りにも話がブッ飛び過ぎて、いきなり言われても何を証拠に信じれば良いか分からないじゃないですか!」
それにパパもホログラムで見ただけですから、実物感が湧かなくて。ワタシが信じられずに居るのも、無理は有りませんよ。
そんなワタシのココロの叫びに、ママは何と応えたんでしょうか……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます