第4節. 異界突入 ( 京子視点 )
第028話.次元の歪みを探せ!
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【あらすじ】
まだ見ぬパパの後ろ姿を追いかける決心をした娘、朱璃。
そんな娘を笑顔で送り出す私……娘の決心を、心から祝福する為に。決して後悔はさせないわ。
【舞台】 日本 ➡ 地上界
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
私は開口一番、朱璃とニックの方に振り向いてこう言ったの。
「朱璃、ニック、ちょっとそこで待っててくれない?」
そう言って、私は家の裏へと回ったのよ。そして、家の軒下から覗き見してたらね……
……ボッ!
何かモジモジと膝を摺り合わせ、顔どころか耳朶まで真っ赤な朱璃が居たのよ。
「よくよく冷静になって考えたら……このまま街に繰り出すん……ですかね?」
暫く時間が経って、異世界に想いを馳せていた意識が冷静さを取り戻したみたいね。現実世界に引き戻されて、改めて自分の着てる衣装の“異常性”に気付いたのよ。
確かに普段着てる服と比べて、デコルテ部分を始めとして背中、おみ足と露出部分が結構有るからね♪ セクシー路線、まっしぐらかしら?
「このきぐるみの格好、もし高校の友達に見られたら……かなり恥ずかしい……です……」
【うわっ、お姉ちゃん……コスプレ苦手そー】
ふふっ、15才のうら若き乙女だから当然の反応よね。でもニック、『コスプレ』って言葉……私教えて無いわよ?
もうそろそろ、頃合いよね。家の裏のガレージへ廻って。
……プップップー!
「朱璃、コレに乗って行くわよ!」
そんな朱璃達の後ろで、不意打ちでクラクションを鳴らしたの。私、ガレージから赤い軽自動車を走らせて来たのよ。
朱璃は、軽自動車の後ろの座席にスッと乗り込んだわ。私はすぐさま、何時も使ってる毛布を投げ入れたの。
「流石にその姿のままでは恥ずかしいでしょ?」
おーおー、朱璃ったらまぁ。膝に毛布を掛けながら両手を合わせ……涙をうるうる流して、感謝のポーズ。
そう云えば朱璃、生理が始まった中学校の頃から……その時だけはこうやって私が軽自動車で学校まで連れてってあげた事を思い出すわね。
その時も後ろの座席に乗せ、こうやって頭から毛布を被せながら……
私は車を動かす前に、フロントガラス越しに地図を見るニックと最終確認したの。
【そーそー、余りに幻想的で、ボクのお目々もハートマークになっちゃったー♡ 彼処、何て言ったっけー】チラッ
あ……私、試されてる? 頼りなく見えるのかしら、私?
でもテレパシーだから、例えニックだけ車外に居ようと車の窓を閉め切ろうと問題無いわ。ホント便利よね。
それにしても、ハートマークって………もう此処しか無いじゃない!
「ニック、さっき言ってた“次元の歪み”って、此処で良かったのかしら?」
そう言って、地図上のある一点をピシぃッ!と指差して。それに、ニックが両翼を広げて応えたの。どうやら正解みたいね。
そう、私が左手人差し指で示した場所こそ……恋のパワースポットで有名なハート型の湖、『心桃湖』だったのよ!
「ニックは普通の人には視えないから、そのまま飛んじゃってイイわよ!」
【らじゃー!】
そして、ニックは先導する様に車の前方をすぃーと飛んで。そのまま、軽自動車はブロロロ……と出発したの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます