第025話.女神さまのイメージ

 「女神さま」の姿になるワタシ……今はまだこのキュイぐるみをただ着てるだけで、その姿が想像出来なくて。


 パパから、女神さまの事を聞いたんですけど。想像出来ないって事は、実感が持てて無いって事でも在って。


 正直、他人事感覚な部分も有ります。パパを追い掛けたいって、言いはしたんですけど。











 あっ! たった今、キュ~ってノビてたニックが目を覚ましたみたいです! ムクッと起き上がり、キョロキョロ周りを見回してます。状況が把握出来て無いんですね……



【アレ……ココはー?】



「大変だったわね、ニック。さっき、パパがアナタの体躯からだに組み込んだ通信魔法陣を使って……天界からコンタクトを図って来たのよ!」


 ママのひと言に、ニックは目を大きくしてますね! しかも、ちょっと……涙目?



【えー、シュージン様ってボクの身体にそんな細工をしてたのー!? あの人、ボク達“テイムちゃん”に対する認識、絶対に間違えてるよー!】




ピーピー!ピピッピー!



 ニックは笛を吹きながら『“テイムちゃん”待遇改善!』と描かれた小さなプラカードを嘴で挟み、プンプン!とシュプレヒコールを挙げます。


 ちょっとちょっと、そんなプラカード……どこに隠し持ってたんですか?











 実感が持てない理由は、女神って言葉に今イチ実像が湧かないからかも。だから、少しでも具体的なイメージが欲しくて。


「ママ、女神さまってどんな能力を持ってるんですか? 一体、どんな事が出来るんです?」


 ママは、困った顔をして答えます。


「ゴメンね、朱璃……私にも分からないのよ。如何せん、今迄本物の『女神』自体、1度も見た事無いからね」


 そしてニックも過去を振り返り、激しくふるふると首を横に振って言葉を繋げます。



【イヤ、女神だけじゃないよー。女神や大天使、魔神みたいな『3大神族』と呼ばれる者達は……向こうの地上界でも伝説上の、空想の存在として崇め奉られてるのーっ!】



 3大神族って、地球で云う“神仏信仰”と同じ感覚で良いんですかね? それにしても……



とてとてとて……ふん!ふん!

   テクテクテク……フン!フン!



 ニックは、まだ嘴で挟んだプラカードを左右に弧を描いて振ってます。鼻息も、やや荒いです! でも訴えるべき相手は遥か遠い天界の先だから、無駄なんですってば……


 ま、仕様が無いです。同じ“半人半神”だったパパのアドバイスですから。誰かに教えて貰ってラクしたら駄目って事ですね、たぶん。



 知りたいなら自分の足で、目で耳で直接確かめなさいと……ニックのストライキ説明、終わり。



 以後、パパのこの教えがワタシの異世界における行動原理となって行きます。


「ねえママ、ニックさん……どうすればワタシ、パパがいる『天界』って所に行けるんですか?」



ヒーヒー……ふぅふぅ…… はぁ。



【それはね、ボクが説明してあげるよー!】



 ニックはようやく諦めたのか、大きくため息をつきます。それでも、ワタシが異世界で成さねばならない事について説明をしてくれました。

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