第014話.コンビ仲、最高です

 両者ダブルノックアウトと云う、何とも残念な幕切れになってしまいまして。暫く経って、トリさんの意識が回復したみたいです。



コキコキ……ぺき。



 何事も無かったかの様に左右に首を傾げ、ムクッと起き上がりました。ちなみにママの方は、首の後ろにワタシが氷嚢を乗っけて、介抱してあげてます。


 ワタシは、驚愕を受けました。何ですか、この“お約束”とでも言いたげな空気は?


 コレは早速、『異世界ファンタジー』の手厚い“洗礼”を受けた感じなんですか? コレが噂の「異世界あるある」ですか?



 だってこんなトリさん、この世界では見た事有りませんものッ!











 いえ、何処かで見た事が有る様な気が。一番近そうなのが、昨日学校の図書館で借りた鳥類図鑑に載ってた……確か「ゴクラクチョウ」です!


 だけど、この世界では……こんなに全身、燃え盛って無いんですけどねッ☆


 トリさんがプルルーっと体躯を震わせると燃え盛る全身から、小っちゃなネズミ花火がいくつもひゅるひゅるる~っと……



 おーっ、パチパチパチパチ……って思わず両手を叩いてしまうワタシ。風流に浸ってる場合じゃ無いですから♪



【いえいえお姉ちゃん、そんな絵本の中のお話じゃないよー。全て、目の前で起きてる“リアル”なんだからさー】



 目の前に喋るトリさんが居るって事自体、もう既に有り得ない事なんですけど……


 喋り方も何処と無く“子供っぽい”し、とってもフレンドリーですし。でも、明るくハキハキと言う子なんですよね!



 目を覚ましたママはニヤッと笑い、ワタシにとんでもない事を言い出したんです!


「朱璃、この子は時々ボケるからツッコんであげると喜ぶのよ! ホラ、自己紹介は?」


 えっ、このトリさん、“ボケとツッコミ”が理解出来るんですか??? どうやら、あの“ネズミ花火”のくだりはトリさんのボケだったみたいです!



【ども! ボクはご主人さま、キョウコ様の“テイムちゃん”なのー! フェアリーバードで名前はニック、ヨロシクねー!】



 す……スラスラと流暢な日本語、喋れるでは無いですか! それに「テイムちゃん」って一体? 何なんです、このカワイイ生き物は……?











 ママ、しみじみとした顔でトリさん……ニックに聞きます。


「でもニック、アナタ彼処・・からよく無事に戻って来れたわね」



【ボク、ご主人さまとは『天界』で離れ放れになったきりー。今迄あっちでフラフラ、こっちでフラフラ、探すの大変だったのよー】



 そう言うニックは、喜びで緩み切った顔なのでした。

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