第2節.ドレスコード ( 朱璃視点 )
第013話.ご主人さまって誰?
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【あらすじ】
ママはワタシに言います、New Worldへの切符はその箱の中に入ってるって。
そして、ふらり舞い込んだニックはその言葉を肯定します。其れを開ける鍵は力でも、況してや魔力でも無いって。それは、一体……
【舞台】 日本
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ワタシの家は台地の上に在る平地、其処に広がる集落の外れに建てられた……とある1件の掘っ立て小屋。
そんな礎石などを用いず、柱を直接土中に埋め込んだ見窄らしい小屋に帰って来ました。自転車を止めてゆっくり降ります。
キィコ……キィコ……キィ。
本当はワタシも今時の女子高生として、もっと普通に友達とアオハルライフを楽しみたいんです。明日もずっとこんな楽しい日々が続くんだって、何も疑う余地無く。
でもそんな日々はきっと、何時までも続く訳が無くて。
あの日のゴブリンの様に、ワタシがそんな平凡な日々にどっぷり浸かる事を赦さぬ者達が……手ぐすね引いて待ち構えてる筈ですから。
例えば、ワタシのすぐ傍に……
っどえぇ、何か居ますよぉ!?? その時ふと、不意を衝かれたワタシの脳内……上の方から声が聞こえて来て。
【よーやく、“あのヒト”見ぃーっけ! ただいまなのら、
ワタシは声が後ろの方から耳に入って来たのかと勘違いして、条件反射的に振り向いてしまったんです。
そそ。そん、そそそん。
あっ、不自然に光るタンブルウィードです! 転がって来ました。敢えてそのまま触れず、スルーしてたんですけどね。
転がったまま、勢い余って玄関隣の納屋へと姿を消しましたよ! それにしても、喋ったって事は……生き物だったんですね。
そん、そそそん……どんがらがっしゃーん!
納屋に突撃、全て引っ繰り返してしまいます。それでも納屋からひょっこり覗かせた顔は、何処か愛嬌に溢れて居て。
まるで『カリブの海賊』に出て来る、見た目的に海賊の肩に乗ってそうなトリさんですね……この見た目は可愛いけど、色んな意味でスゴく残念な生き物。一体何なんでしょうか?
確かに、其れもそうなんですけど……ご主人さまって? 誰の事なんですか!??
光の合間からひょっこり覗かせた、トリさんの顔を良く良く見てみると……
紅い顔に黄色の嘴、何故か真ん丸お目目は大きな白目とは対照的にごま塩みたいな小さな黒目が1粒乗っかってるだけみたいに見えまして。
そして綺麗な七色にグラデーション分けされた鶏冠毛は、先がぜんまいの様にクルンとカールしてます。
んじ……っ!!!
トリさんはママを見付けると、喜んでスクリューみたく螺旋を描いてスッ飛んで来たんです! 一瞬スローになったと思った、次の瞬間……
「久し振り、ニック!」
【ご~しゅ~じ~ん~さ……】
え、再びトリさんの声が脳内に響いて来ましたよ? それに、ご主人さまって……ママの事だったんですか!?
ごいんっ!!!
どうやら喜び勇んでスッ飛んで来た拍子に、抱き締めようと両手を広げたママのおでこと派手にぶつかった様なんです!
さすがは残念な生き物、螺旋を描いて突っ込んだ時点で弾丸みたいに勢いが付き、こーゆー結果を招くって予想が付かなかったんでしょうか?
頭が横を向いたり真下を向いたり、フラフラと危なっかしい飛び方した挙げ句……
ひゅるる~ ぽてっ。
あらら、完全にナルト目ですね。片や、ママの方はというと……あらま、こちらの方も目を回しちゃって。
両者ノックアウトでした♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます