第016話.ピンクゴールドの帯

 でもママ……ニックの異世界の話、そんなに興味無いんですか? ワタシにはとても興味深く、ココロの琴線に触れっぱなしなんですけど。



【校舎の窓から丸い光体……ニックを初めて見かけた時も、ワタシと周りの子達とでは明らかに反応、違ってましたし……】



 ワタシ、やっぱり・・・・普通の人と違う……? ツインテールで束ねた髪を、指でクルンクルンと回しながら。ワタシはゆっくり、その場に佇みます。











 小さい時から、ワタシの周りには友達が余り居ません。ワタシと交わる人達は全員、何故かワタシの事を普通の人とは違う、と口を揃えて気味悪がるからです。


「他の人には存在しない『物』が、あの子の周りにだけ視えてる」


 一番多く言われたのは、こんな“視える”関連の事だった様な気がします。


「他の人には見えない物が、その人にだけは“視えて”る」


 こう言った話の類いは、大抵は一部の“視える”人達にだけ言われて気味悪がられるケースが殆どなのですが、ワタシは違いました。


 何とその時のワタシではまだ“気”の制御がままならず、その為に莫大な量の高濃度の“気”をそのまま「垂れ流し状態」にしてたんです。


 その為、霊感の無い人にまでハッキリと『物』が視えてしまうんです。


「まるでシャンパンの様な、ピンクゴールドの色の“帯”が視えた」


 その時、人々は決まってこう口にするんです。どうやらワタシの廻りで視えてる『物』って、このピンクゴールドの“帯”みたいなんです。




 今から思えば……夢の中で見たあの“桜の木”とリンクするものが有ったのでしょうか?











「うん……ちょっとね。どうしたの、体調悪いの?」


 ママもワタシのピンクゴールドの“帯”はハッキリと認識出来ます。それどころか“帯”の形状、色の濁りを見る事でワタシの隠れた体調の変化に誰よりも敏感に気付く事が出来ます。


 そして、何故か……ママだけがその“帯”に直接触れる事が出来て、しかも直接触れるだけでちょっとした病気位なら治せてしまうんです。


 ワタシは、ピンクゴールドの“帯”をヒラヒラさせながら言います。


「ちょっと……生理不順だったのか、下半身が重くてね……。ママこそ、あまり無理をしちゃ駄目ですよ。身体、壊しちゃったりしたらどうするんです」


 ママはこの“帯”を指に巻き付け、ニッコリ笑いながら言いました。


「分かったわ、気を付けるね……」


 “帯”がポォ……と青白く、淡い光を放った様な気がしました。


「ママ、治してくれてありがとう!」











 ママが体調を治してくれてる間、ワタシはニックにこう聞いてみました。


「御免なさい、ニック……さん。『天界』って一体、何処の世界なんでしょう? 分かる様に説明して貰えませんか?」


 ワタシからの質問に、ニックはうーん……と暫く考えて。どうする?とママと顔を見合わせ、ヒソヒソ話します。


 でも、先程ボケとツッコミの事を聞いてしまった所為で……ワタシにはどうしても2人が『コントのネタ合わせ』してる様にしか見えなくて。



ぷぷぷ……ッ♪



 ワタシは、込み上げる笑いを堪えるのに必死です。暫くしてママとニックはお互いに納得したのか、2人で頷き合いました。



【説明なんて廻り諄くてヤだからー、此れからお姉ちゃんに一発で理解して貰いたいと思いまーす!】



 2人で散々話し合って、結局結論はソレかーいッ! なんてツッコミ、ワタシには無理なんでしょうね……









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【う・ん・ち・く♡】「見える」と『視える』



 この物語で、“視える”とは霊力、魔力を使って初めて見えない筈の『物』が見えて来る事を意味します。


 従って、ただ視界に入るだけの「見える」とは明確に違った表現として使用してます。



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