第009❀.夢の中で見た桜の木
異世界の住人達と闘う事の出来る新たな術、胸キュン♡流格闘術を身に付けたその日の夜。ワタシは不思議な夢を見たんです。
そこは一面、瑠璃色の背景なんですけど……所処、まるで上から絵の具を垂らした様な薄マーブル状になってます。
このマーブル模様はそう……生身のまま勝負を挑むワタシの不安。天に届く力を
【ワタシの夢の中……矮小なココロの世界……】
矮小なココロを誰か、開放してと願うワタシ。
するとその想いにピンクゴールドの帯が、手の平からシュルっと応えます。
一本の帯になり、ふよふよとある方向へ漂い始めたんです。自分の意志とは関係無い、この帯の動き……まさか?
【ワタシを……呼んでるんですか?】
理由は分かりませんが、ワタシには何故かそう思えたんです。分かってます、
その代わり、この帯がワタシを引っ張ってくれます。ワタシはただ、逸れない様に必死に帯を握り続けるだけ。
そして帯に連れられた場所には、眼下に満開の
瑠璃色に広がる仄暗い空間だからこそ、桜の木の周りを舞い踊る桜の花弁の群れをより鮮やかに際立たせて。
それだけでは無くて。共に桜の木の周りを衛星の様に漂うのは、2体の狛犬ならぬ……狛『兎』だったんです!
ようこそ、踏み入れし「資格」の有る者よ……
別に声が聞こえて来た訳では有りません。桜の花弁の群れに混じり、ワタシにメッセージが送られて来たんです。
その文字はワタシの目前にさらさらっと現れ、またさらさらっと砂の様に儚く消えます。この儚さ、本当に桜っぽいですね。
此れが貴女の……
本当の心の世界と表現されて驚く反面、妙に心にストンと落ちる感覚も確かにワタシの中には共存してた訳で。
【はぁ……この桜の花弁、ワタシと云う種の原始的な安心感に包まれます。まるでママの子宮の中で、羊水に浸かってるみたいに】
でも次の瞬間
でも踏み入れるには…… 資格だけじゃ駄目……
何と、両手で握る帯が先端から順に分子レベルで崩壊して行って。命綱を無くしたワタシ、そのまま夢の外へ押し出されてしまったんです!
【資格の他に、要るものって……何?】
でもそんなワタシを、桜の花弁の群れはゆりかごの様に最後まで優しく包み込み送り出してくれたのでした。
【資格…… 準備…… 覚悟…… 時間……】
声も姿も今のワタシには
【ざーんねん♪ 正しい
声は届きませんが、確かに何者かはワタシに向け、うーん!と両手で伸びをしながらこう仰言ったんです。
【サービスはこの初回だけよ? 次からは
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ワタシの昔話は、ここまで。次は、違う世界から来た迷子のお話になります。
敵なのか? 味方なのか? 日本編、もう暫く続きそうです。
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