閑章1. 抜来報往   ( ニック視点 )

第010話.お邪魔するのねー!

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【あらすじ】


 始まりは、心桃市に発光体が舞い込んだ事から。明らかに、この世の事象では無いねー。


 何なのかなー?



【舞台】 日本


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 コポポ……コポッ……コポポ……



 此処は日本の某県……海沿都市で在る心桃市。日本の【奇跡の絶景100選】のひとつで、市の観光名所として有名な心桃湖なの。


 “恋のパワースポット”として人気が根強いハート型のピンクラグーンの水面中央からやや下、水中から異変が発せられて。



ジ……ジジッ ジジ……ジ……



 やがて水中に、円形の闇が形成されたの。其れは正しく、現代に「この世為らざるもの」が侵食して来た音なのねー。



ズッ……ズズッ……



 刻は早朝、周りはまだ薄暗くて。ボクは丸い物体のまま、円形の闇から現世にゆっくりとひり出て来たのよ。



ちゃぷん……ぽたっぽたっ。



 やがて完全に水中へ、そして心桃湖の水面へ浮かび上がり。ボクは自ら眩く照らす発光体に変化したのー!






パチパチ、ぱちくり。



 あらまー、その時たまたま心桃湖の湖畔に女子大生の子が居て、ボクの目と視線が合っちゃったの。


 身を翻し日の出の空へ上昇する急激な風圧に当てられ、コテンとあの子も。マスク・・・飛んでったよー、大丈夫?




 まさかこの事が、後に「すっぴんレイプ」と騒がれるなんてねー。











シュ……シュゴゴゴ……ッ!!!




 日中はぷかぷか、夕方に活動再開ね。


 流れ星の様に上空を飛ぶと、大気の摩擦の為なのか風切り音が凄いの! そして、ゆっくりと大きく旋回しながら螺旋を描いたのよ!



 高校の校舎3階窓から、ボクを見上げてる少女と目が合って。夕空を旋回するボクの下には、心桃市の中央をほぼ占拠する巨大な競り立つ台地が見えてるの。


 立地的にとても目立ってるから、上空旋回中のどの角度から見てもこの巨大な台地が目に飛び込むのね。











 ボクの発光体の光と光の合間から右上の方向に、翼らしきものが出て来たの! まるで、燃え盛る紅い炎を身に纏ってる様に見えるのよ!




ブァサッ……!!!

   バシュッ……ブシューッ!!!




 この燃える翼が、大気の中の結晶分を超高温で蒸発させながら旋回してるの! きっと、地上からは流れ星に見えてるに違い無いのね!



 眼下には一番車の往き来が多い心桃市の基幹道路を中心に、たくさんの様々な家がそれを取り巻く様に並ぶという町の夜景が広がってるの。


 そして、その基幹道路を挟んですぐ側に海を望んでるの。確かこう云うの、臨海都市って前に・・聞いてたのね。


 それにしてもさ、良く見るとあっちのヒトもこっちのヒトもみーんなマスク付けてるよね。こっちの世界では今、此れが流行りなのかなー?


「あかりっ、バイバーイ♪」


 あっ、さっきの少女をまた見掛けたのね。二又路で友達と別れた後……ボクが描く軌道を眼で必死に追い掛けてるの。






 完全にボクの事視えてて、LOCK ON してるとしか……あ、自己紹介がまだだったの。ボクの名前はニック、異世界の住人・・・・・・なのね!



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