日常と夢の記憶
5回目の朝を迎えた日から数日。夢が記憶に残る弊害が大きく現れ始めていた。特に、不注意で車に轢かれたとき、電車でバラバラになったときなど、感触や記憶が本当にあったことかのように残っている。実際「起こるはずだった」ことだ。夢のはずなのに現実のようで、現実なのにそれは夢ということになっていて。一体どちらの世界が本当なんだろうか?もしかしたら今喋っている内容が夢で…そこまで考えたところで私は辞めた。このままこの状況が「夢」という事にして、その死ぬ記憶が本当だったのではなどと考えてしまえばそれが本当になってしまう。
…まだ死にたくない。
そこで私は思考を止めて、散歩に出掛けた。外はもう夜で、ヒヤリとした夜風が頰を撫でてさ去ってゆく。いつも通る通学路をふらりふらりと歩いてゆく。ともかくこの考えを、夢とする考えをはっきりと出してしまう前に振り解いてしまいたくて。
ふらりふらりと歩いていくうちに、路地に入っていった。夜は電灯が少ないのでおどろおどろしく感じてしまうような道だ。恐怖による寒気と、頬を撫でる冷たい風で体が冷えていく。恐ろしさにより考えが塗りつぶされていく事に安堵しつつも、恐怖で体は動かなくなっていた。その時に過る『殺人鬼』の都市伝説。最近できたがあり溢れた物で、子供が最近いなくなるのは殺されているせいだというものだ。実在するわけないと心では分かりつつも、まるでいるかのように感じていた。実際この辺りで小動物の殺される事件が………………
そこまで考えた時、頭が真っ白になった。後ろから足音が近づいてくる。夜道、足音。電車でバラバラになった記憶がフラッシュバックする。それに加えて、さっきまで考えていた小動物の事件も頭をよぎる。(本当だったらどうしようか)
悪い予感が体を震わせた時。胸を熱いものが貫いた。
「っあ………」
そういえば聞いたことがある。小動物を殺す人の中には、小動物では足りなくなってだんだん小さい子を殺していく…と。ならあの都市伝説の子供は…
胸から熱いものがこぼれ落ちる。身体から力が抜けて倒れこみ…最後に恍惚の表情に歪んだ顔の男が写って………私の記憶は途切れた。夢だと念じたのは役に立ったのだろうか…暗い意識の底で揺れるように考えて………
血塗れの自分が倒れているのを見つめる恍惚の男の夢を見た。あの後どうなったのかは知りたくない。鮮明に残るまるで現実のような感触と記憶を頭に抱え込んだまま私はぼんやりと、外へ出かけた。涼しい夜風が頬を撫でた。
どんなものも夢ならば怖くないっ! 主宮 @nushomiya
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