君のおもいをのせる

月森しずく

君とぼくの出会い(短編小説)

「かっこいい!!!」

君は初対面でぼくにそう言ってきた


“一目惚れ”


というやつらしい。


今まで色んな人と出会ってきたつもりだが、


こんなにも分かりやすく目を輝かせて

ぼくを見てくる人は初めてだ


ぼくは、モテ期(?)というものを経験したことがない


まあ、見た目が良くないのだろう。


第一印象は大事だと言うからな。仕方がない。


でも、ぼくにも良い所はあると思ってる。

もちろんモテ期(?)なんてものが来なくても。


例えば?そうだな。


スピードには自信がある。

少し体の調子を整えれば

100m走で10秒前後といったところかな。


え?足が速くてモテるのは小学生までだろうって?


だから言っただろう。ぼくはモテないんだって。


まあまあ、呆れないでくれ。

他にもちゃんとあるよ。


体が丈夫、とかね。

みんな力持ちの子が好きだろう。

きっと一目惚れしてきたあの子だってそうだ。



そんなの偏見だって?


…確かにそうかもしれないな。


でも、君がぼくのパートナーになれば

君の重い荷物は全部“乗せて”あげるよ。

沢山買い物しても安心だね。


そう考えたら、ぼくのパートナーになるのも嫌な気がしないだろう?足速いし。


おっと、“乗せる”に違和感を持ったかい?

そりゃあそうか。


そうだね。あくまでも、

ぼくは君の“重い”を乗せることができる。


「ぼくの名前は自転車」

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君のおもいをのせる 月森しずく @tukimori_shizuku

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