2-11 私のターン
移動遊園地の入り口をくぐる
遊園地の入り口といっても立派なものじゃない
前世の日本でいったら小学校の運動会の入場門が
手前の券売所でチケットを買って
入り口横にいる係員の人にスタンプを押してもらうと入場OK
まあ前世日本人の私から見ると簡単に偽造できそうって思えちゃうんだけど
この世界ではこれで十分っていうのが
この世界の安全レベルを象徴しているようである意味
でもいったん入場したなら後はずっと私のターン
なんせすべては私がBLを
気合いが入らないはずないじゃない
「あっ、あの乗り物に乗りましょう」
「あーおもしろかった。次はあれ! あれに乗りましょう」
「ガタガタして楽しかったですね。次は何に乗ろうかな」
「あっ、あれ! あれおもしろそうですよ! 早く行きましょう!」
全部私のセリフ
そう。前にも言ったけど、どのアトラクションにどの順番で乗るかは私の中で決定済み
後は実行あるのみ
私が先頭に立ってふたりを
そして乗るアトラクションは全部「横に並んで座れるのはふたり」なものだけ
当然ふたりはどちらも私と座りたがるわけで
これまた当然「どちらが私と座るか」でもめるわけ
そこで
「そんなにもめるならふたりで座ってください。私は後ろに座りますから」
と言ってふたり一緒に座ってもらう
私は後ろからそれを眺めながらニヤニヤ
ああ、なんて素晴らしい光景なのかしら
すべては私のシナリオ通りよ
しかも「いい眺め」はアトラクションに乗っている間だけじゃない
アトラクションとアトラクションとの間の移動の時もそう
だって「私が先頭に立ってふたりを
当然私が前を行き、ふたりが並んでその後ろから着いてくる
そんなシチュエーションを私が見逃すもんですか
だから私は前を向いては歩きません
体は後ろ向き。後から来るふたりの方を向いての後ろ歩き
並んで歩くふたりの様子を正面からタップリと
通路の曲がり具合なんかは全部頭に入ってるし
ここの混み具合っていったら、前世のテーマパークなんかと比べるとガラガラと言ってもいいレベルだから
時々後ろを振り返って確認するだけで他人とぶつかる心配はなし
ふたりはまだ手は
私の事前シミュレーションによると、そうなるのも時間の問題
エドモンド副会長が疲れてふらつくのはもう少し先かしら
いや、もしかしたらアルバート会長がエドモンド副会長の意外なタフさに感心して……、ってパターンもあるかも
いずれにしても、ここまでくれば事態が動くのにそんなに時間はかからないはずね
さあて、いったいどうなるかしらね
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