2-9 作戦開始
ふたりを誘うのは無事に成功
アルバート会長はすんなりOKしてくれたけど
さすがは慎重派のエドモンド副会長ね
他に声をかけていないか聞かれたわ
幸いにもその時点ではまだ会長には声を掛けていなかったから「(いまはまだ)副会長だけです」と答えたけど
ウソは言っていないから問題はナシ
わざとちょっとだけ遅れて待ち合わせ場所に向かいます
理由は簡単。待ち合わせ場所で待つふたりの様子を見たいから
ホント、待ち合わせ場所が近づくにつれて笑いを
笑いそうになった理由はいくつかあるけど
主なものは次のふたつね
ひとつ目はふたりの格好
考えてもみてよ
この国の第三王子がそのままの格好でいきなり遊園地に現れてご
大混乱になるのは目に見えてるじゃない
それはエドモンド副会長も同じ
公爵家の人間ともなると、国の大きなイベントに顔を出す機会もままあるのよね
で、そんなイベントの中には貴族でない一般の人たちが観客として参加するものもあるわけ
つまり遊園地に来るような人たちの中にも、エドモンド副会長の顔を知っている人がいるのは十分考えられるってことね
だからふたりにはちょっとした変装をしてもらっているの
そうね、ふたりの身なりをひと言で言うなれば「庶民だけどいいところのおぼっちゃま」といったところかしら
あとは帽子やら何かで顔がわからないようにしておけば、バレる心配はないでしょう
ただ私から見ると、なんか微妙にコレジャナイ感が漂っているのがおかしくておかしくて
えっ、私?
私は貴族っぽくない服装をしているだけ
だって私の「男の子としての顔」を知っている人が外にいるはずないし
第一、大きなイベントに参加したことのない私に問題があるはずなかった
なお、呼び名もアルバート会長は「アル」、エドモンド副会長も「エド」にして敬称はつけない
私? 私はジャンのまま。だってそれで私たちの身元がバレる心配なんてあるわけないでしょ
もうひとつはふたりの立ち位置
だってふたりが絶妙な距離を開けて立っているんですもの
ふたりはどちらも「私とふたりっきりのお出かけ」と思い込んでいるから
互いを見てビックリしたはず
で、これは完全に私の想像なんだけど
ふたりはどちらも今日の自分の相手が私だとは明かさずぼかしたと思うの
だからこその「微妙な距離」ね
もしも明かしていたら、ふたり並んで私を
そんなふたりに向かって「あれ? 言ってませんでしたか」って言った時のふたりの顔ったらなかったな
さすがにあからさまに不愉快そうな顔はしなかったけど
微妙に表情が変わるのがおかしくて
思わず心の中で手を合わせてゴメンナサイしたわ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます