2-13 お弁当作戦
時は来た
例えいまが百人いたら百人全員が「絶対無理」って言う状況だとしても
いまこそ
何より重要なのはお弁当を食べる場所
お弁当を食べるベンチはもう決めてあるって言ったけど
行ってみたら他の人が座ってました、じゃ
だからそこを確実に確保するのに昼前から動く
標的は「背もたれがある3人座れるベンチ」
しかも背後がある程度
なおかつ身を隠せる
まず「3人座れる」は当然として
なぜ「背もたれのあるベンチ」なのか
もし地面にシートとか
どうしても私を含めた3人が三角形になるように座るよね
その場合、ふたりどちらの視界にも入らないよう背後に隠れるのはまず無理
首を左右に動かすだろうし
人間の視野って思ったより広いのよ
その点「背もたれのあるベンチ」なら
ふたりは同じ方を向いて座ってくれる
真後ろに隠れればそう簡単には見つからない
背もたれがあればそうそう後ろを振り返ろうとはしないでしょ
ベンチ後ろの
その正体は植え込み
植え込み後ろに隠れるとふたりからは50cmくらいの距離になる
だからふたりから気づかれにくい上に
話を盗み聞きするにもちょうどいい
だからそこを他の人に取られないよう
みんなが「そろそろお弁当を」となる前に確保してしまうの
昼前から動くのはそういう理由ね
「あーあ、いっぱい乗ったからお
アトラクションと同じく
私がふたりを目当てのベンチに引っ張っていって
無事に標的を確保
これで作戦は8割
まだ天は私を見放しちゃいないわ
お弁当を出してもらう
当然、エドモンド副会長が用意した「ふたり分のお弁当」しかないことがここで明らかに
「ああっ、ごめんなさい。僕がうっかりしてお願いするのを忘れていました。確かあの
と言って予定通りその場を離れ……
ようとしたんだけど
アルバート会長が待ったをかけたの
「いや、ジャンばかりに押しつけるのはよくない。私も一緒に行く」
うっ、マズイ
って思う間もなくエドモンド副会長も追い打ちで
「いや。私が一緒に行きます」
って言ったもんだから大ピンチ!
なんでこんなところだけ息ぴったりなのよ(2回目)
まずいまずいまずい
とにかくふたりをここに
「いやいやいや。おふたりはここで座っていてください。ミスしたのは僕なんですから。さっと行って買ってくるので、おふたりは先にお弁当を食べていてください」
そう言って、ふたりの体を無理やりベンチに押し付けた
それでもまだ何か言おうとするのが見えたので、その場から駆け出しながら
「先に食べ始めておいてくださいね。絶対ですよ」
と念を押すと、そのまま振り返らずに
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