0-9 条件
「お母さまの社交界でのお友だちに相談するわけには参りませんの」
「ジャンヌ、このことは
たしかにそう。女の子の友だちに「絶対に秘密だからね」と教えたことが翌日にはみんなに広まっているっていうのは、前世でもさんざん経験したんだった
「では領地におられるお父さまにお願いしてみるのは」
お父さまはこのお屋敷にはおられない。このお屋敷は王都にあるけど、お父さまがおられるのは領地。領主の妻子を都に置いておかせて領主本人は領地と都を行き来させる。日本の江戸時代にあった参勤交代に似た制度。どこの世界でも時代でも、支配者の考えることは同じってことね
「王宮に影響を及ぼすとなると公爵侯爵クラスの人物の協力が必要です。残念ながら子爵であるお父さまのお力ではそれも難しいでしょう」
だめか
「でも、もしかしたら」
「えっ、何ですか、お母さま」
「おじいさまにお願いすれば、もしかしたら」
「おじいさま! おじいさまにお願いすればなんとかなるんですか」
「確証があるわけではないのよ。ただ、おじいさまなら王国の長老の方々に知り合いが数多くおられるから」
お母さまが最後までおっしゃるのを待てずに、思わず私は部屋を飛び出していた
「おじいさまにお手紙を書いてお願いしてみます」
返事はすぐに来た
おじいさまによると、この話にぴったりの“あて”があるとのこと
しかもその“あて”とは
なんと学園の理事長であるドミニク前侯爵
おじいさまがガスパール学園に在学されていた時、その方と寮で何年か同室だったのだとか
しかもおじいさまの方が先輩だったこともあり、さまざまな相談に乗ったりしていたそう
「あやつにはいくつもの貸しがある。ちょっとした弱みも握っておる。どうれ、これを機に貸しをいくつか返してもらうとするかの」
手紙にはそう書かれていた
そこからの展開は早かった
おじいさまはすぐに理事長と手紙で交渉。さらには王都に来られて直接交渉までしてくださった
その結果は
入学前に私が理事長の面接を受け、合格すれば「男の子」として入学を認めようとなった
やった! ついに扉が開いた
人間、
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