第2話「日本へ」

勇一はユズキを連れニューヨークの街を歩き続ける。

すっかり日が暮れ辺りは真っ暗に……。

(そろそろ泊まれる所を見つけないとな……)

勇一は今まで寝袋で野宿をしていたが、ユズキを連れて野宿と言う訳にも行かず宿を探す事にした。


ニューヨークの大都会が少し外れた所にモーテルを見つけた。

今夜はここで寝泊まりする事に。


ここは比較的安いホテルで一部屋だけ借りたが、ユズキの安全の為にも同じ部屋に居た方が良いだろうと判断した。

勇一は荷物を置きユズキの方を見た。

「ユズキちゃん、ご飯でも食べに行こうか」

ユズキは微笑んで頷いた。


モーテルから少し離れた所にあるレストランに行った勇一とユズキは早速食事を注文する。

ユズキは勇一と出会った時からずっとテディベアを抱えていて、それは食事の時にも手放さなかった。

勇一はそれが気になっていた。

「そのぬいぐるみ……大事な物なのか?」

ユズキは頷いた。

「ママがくれたの……」

「そっか……じゃあ大事にしないとな」

そして、勇一は意を決してユズキに話始めた。

ユズキを守る為にも全てを話して欲しいと。

そうでなければ守る物も守れない。

そう思ったからだ。

そして、ユズキも勇一が自分を守ってくれる存在として認めたのか、ナイフとフォークをテーブルに置いて話始めた。


と言ってもユズキはまだ7歳だ。

大人の事情をしっかりと話せる訳はない。

ユズキは母親から渡されたと言う手紙を勇一に見せた。

勇一がその手紙を見せて貰うと英語と日本語でそれぞれ一枚ずつ書かれていた。

余程用意周到な母親の様だ。


その手紙によると、ユズキの母親マスミ ミヤマはアメリカ在住の日本人で異次元物理学の研究者だと書いてあった。

そして、彼女の夫でユズキの父親コウイチ ミヤマも同じ分野の研究者だと書いてある。

ミヤマ夫婦の研究に興味を持った正体不明の組織のメンバーのスカーとブラウと名乗る男達が2人に次元移動装置の開発を依頼して来た。

彼らの組織が開発費を出す条件で開発を進めたが、その完成間近の所でこの装置の危険性に気付き組織がやろうとしている事がとても恐ろしい事だと察した夫婦は次元移動装置のパーツの一部を隠し開発を中止した。


そして最後に、娘のユズキを日本に居る祖母の元へ送り届けて欲しいと書かれていた。


「日本か……ユズキちゃん、この手紙の通り俺は必ず君を日本のおばあちゃんの元へ送り届ける約束だ」

「うん!」

ユズキはそれを聞いて安心したのか元気良く答えた。


だが、ブラウはまだ2人を監視していた。


「日本だと……面倒な事になりそうだな……」

ブラウはスカーに連絡。

「フンッ……日本か……丁度良い、俺達も日本へ飛ぶぞ」

スカーは日本へ行くつもりの様だ。


翌朝、勇一とユズキは早速日本に行く為、空港に向かった。

「え~っと、日本行きの便は……」

勇一が日本へ行く飛行機のチケットを購入している。


その頃、スカーとブラウが合流。

「兄貴、奴ら日本行きのチケットを買ってる所ですぜ」

「ならこっちは先回りだアジトに戻るぞ、ヘリを用意させてる」

スカーとブラウは一度アジトに戻り日本へ先回りする計画の様だ。


そして、日本行きのチケットを購入した勇一達の元に怪しげな黒づくめの男達が数人やって来た。

勇一はその気配を察知。

「!何だお前らは?」

「あなた達を日本に行かせる訳には行かないのでね……」

そう言って1人の男は怪人の姿に変身。

その男が変身したのはパキケファロサウルスと言う恐竜の姿をしたパキケファロ怪人だった。

「また恐竜シリーズか……組織の奴らだな……」

突如現れた怪人に空港内は大パニック。

パキケファロ怪人は勇一に向かって突進。

頭突き攻撃をしてくる。

「うわっ!?」

パキケファロサウルスは頭が非常に硬い恐竜だ。

その頭突きの威力は計り知れない。

「クソッ……」

勇一は『変身』

竜神ドライガーフレイムドラゴン登場。

ドライガーは応戦するが、パキケファロ怪人の頭突き攻撃は止まらない。

「クソッ……ここじゃ被害が増えるだけだ……」

だが、ドライガーがこの場から離れればその隙にユズキを拐われてしまう可能性がある。

ドライガーはここで戦うしかなかった。

ドライガーは『土の宝玉』で『グランドドラゴン』の姿にチェンジ。

パキケファロ怪人の頭突き攻撃に防御力の高い姿で対抗する。

ドライガーは『ドラゴニックアックス』で攻撃。

パキケファロ怪人にダメージを与えた。

「はぁ……ここで爆発させる訳にも行かねぇな……」

だが、パキケファロ怪人は変身を解除した。

「何っ!?」

「もう時間稼ぎは十分だろう……」

男達は去って行く。

「時間稼ぎ……だと……?」


彼らの時間稼ぎの意味……それは確かにあった。

パキケファロ怪人が暴れた為、空港内は大パニックとなり飛行機の発着が大幅に遅れた。


結局、勇一とユズキが飛行機に乗れたのはその日の夜の便だった。

遅くはなったが、勇一とユズキはいよいよ日本へ旅立った。


続く……。

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