第33話 一方その頃、女神様は

地上界では人間国が魔王国軍の襲撃を受けて、上は下への大騒ぎとなっていた。

突如各都市に現れた32体のドラゴンのせいで、魔王国軍侵攻より一時間あまりの間に、軍、民間人問わず50万人以上が犠牲となった。

大虐殺である。


しかしそれでも、女神エリアルは地上界に対して特別な干渉をする事無く、無慈悲な沈黙を守っていた。


何故なら女神は、その時長期休暇によるバカンスを楽しんでいたのだ。


彼女は勇者召喚という大きな仕事を無事に終わらせた。

召喚者がハムスターになるという些細なアクシデントはあったが、規格外のチートを授けたから問題ないはずだった。


しかもこの世界に於ける勇者召喚は、人間国と魔王国のバランス調整であり、単なるガス抜きであることを、はむきちは自力で見抜いた。

折を見て説明しようと思っていたが、有り難い事に手間を省くことができた。

故に、はむきちは大変優秀な勇者であると思われた。


しばらく地上界は彼にお任せして良かろうと、女神様は神界のお友達とバカンスに出かけてしまったのだ。


はむきちのステータス画面のチャット機能が、長期間メンテナンス表示されていたのも、女神様がはむきちに、楽しいバカンスを邪魔されたくなかったからだ。


それにもし、本当に深刻な事態が発生したら、はむきちは礼拝室経由で女神に連絡を取ろうとするはずであった。


そのように考えて、女神様は無防備に地上界を放置していた。


現在、魔王国軍の電撃的な侵攻によって、地上は地獄絵図である。


女神様、後にテヘペロですますには、あまりに厳しい状況である。

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