第17話 女神様、しらばっくれる

仮説に過ぎない自説を、あたかも真実が如くに朗々と語るはむきち。


とはいえ、はむきちにも幾らかの確信はあった。

彼は王城の礼拝室で、女神様に直接仮説の妥当性を尋ねたのである。


ところが…。


「双子の王子様の弟がどうなったか、はむきち、そんな事を知りたいの???

えー、どうだったかなぁ!?

私良くわかんなーい!!

だってほら、とっても大昔のことなんですものー!

それにほら、私って毎日凄く忙しいでしょう?

だからほら、昔の事とか、どんどん忘れちゃうー!!!

ごめんねー、やっぱり良くわかんなーい!!!」


女神様の口調が突然おかしい。

多分、全言語自動翻訳スキルの性能限界を超えてバグっているのだろう、あるいはこれが素の姿か。


そんな事があったので、ポンコツ女神様は創生の時代よりポンコツであったとはむきちは確信した。


仮説が全く見当違いであれば、ポンコツ女神様はウェーイ気分で全否定した事だろう。

しかしそうせずに、女神様はしらばっくれて誤魔化した。


つまり、仮説がある程度正解であることを、このポンコツ女神様の挙動が物語っている。

そして、当時の女神様が何かしらの大きな失態をやらかしている気配も濃厚である。


「まあいいや、女神様に聞いて分からなくても問題無い。

魔法学園に行けば、きっと調べがつくだろう。

それに、僕だって人の事を悪く言える立場じゃないしな。

なんたって勇者の使命をレイム君に丸投げしようという腹だもん。

まあ、善意ではあるが。

マジで」


かくもこのような経緯から、はむきちは自身の仮説にある程度の確信を持っていた。


校長室で悦に入るはむきち、彼は最後に勇者について語り始める。

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