第10話 はむきち、家庭教師に絶望する
僕とレイム王子が出会い、約一ヶ月後に王子は滞りなく魔法学園に入学した。
その間、僕らは王城にある魔法関連書物を読み漁り、僕個人に於いては全身に魔力を通す訓練を継続していた。
しかし、それらに特別な成果は何も得られなかった。
僕は相変わらずハムスターのままであるし、王城にある書物は闇属性について詳しく書かれた書物が存在しなかった。
やはり闇属性は禁忌とされているらしい。
その理由を知りたいものだが、その為の資料が無いので手詰まりである。
と、そんな時は神様に訊くのが手っ取り早い。
ステータスオープンして、チャット欄を覗いてみる。
チャットシステム:只今メンテナンス中です。お急ぎの方は礼拝堂にてお声掛けください。
暫し唖然としたですよ。
仕方ないので、僕はレイム君に訪ねてみた。
「訳あって礼拝堂に行きたいのだけれど、何とかならん?」
「特別礼拝の時に王族揃って出掛けるけど、最近は僕だけ声をかけてもらえない感じだよ」
本格的に身内からハブられているらしい。
繊細な部分なので、話を逸らすことにした。
「そうか。
では、王城内に礼拝室みたいなのは無かろうか?
これだけでかい城なんだから、あって当然に思うのだが」
「勿論あるよ。なんなら、今から一緒に行こうか?」
僕はレイム君の上着ポケットに収納されたまま、礼拝室へと向かった。
その部屋にある祭壇に向かって僕はコッソリ語りかける。
「ハロー、ハロー、こちらはむきち。
女神様、僕の声が聞こえますか?」
「はい、ちゃんと聞こえますよ、はむきちさん」
人間名で呼ばれなくなってたが、とりあえず気にしない。
それから僕は、女神様と小一時間の口論をした。
テレパシー通話だから、口は使ってなかったが、口論だ。
僕は女神様に、勇者のレベリングには家庭教師なり、師と呼べる存在が絶対必要だと訴えた。
女神様は、本来それが当然だし、そのように準備もしていたが、勇者が人間ではなくハムスターになってしまった時点で、勇者の教育が難しい状況になってしまったと、泣き言を繰り返すばかりだった。
当面、レイム君と共に魔法学園に潜り込み、そこで勇者としての知識や経験を積んでもらうしかないと言う話であった。
場当たり的な対処としか思えない。
レベルが中々上がらない勇者に、どれ程の価値があろうか。
僕としては到底納得出来る説明ではなかったが、かのような口論の最中、たまたま別の話題に脱線してしまい、その結果、
「あれ…?
もしかして、僕、
家庭教師要らんのと違うか???」
という結論に至った。
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