卒業式で
卒業式。
高校3年生で主席だったルーシアは、生徒を代表する挨拶を任されていました。
ルーシアはトイレに行きたかった。
直前に行ったはずでした。
だが、この日に限って、何度も何度も行きたくなります。
尿意はジワジワと高まってしまいます。
股間を抑えたい衝動を抑えながら、壇上で足を交差させ、何気ない体を保ちます。
本当なら抑えたかったのですが、全校生徒の注目する場で、そういう訳にもいきません。
尿意のせいで、途中何度か言葉を詰まらせたり言い直したりしました。
冷や汗が出ていて、顔色も悪かく、ルーシアの体調を心配している声もちらほら聞こえます。
――大丈夫じゃない……早くトイレに……
心のなかで思いながらも挨拶を終え、そして壇上の右側に移動します。
先ほどの挨拶の様子を見ていた生徒が何人もこちらに視線を寄越す。
今はこの視線が屈辱的でした。
彼らが見ているのは「おしっこを我慢しているルーシア」なのです。
まさか尿意を堪えているとは誰も想像していないだろう。
バレていないだろうか。
いまルーシアの前で、後輩が卒業のお祝いの挨拶を述べている。
この子は何を言っているのだろう。何を言っているのか全く耳に入らない。
徐々に呼吸も荒くなり冷や汗が額に浮かぶ。
流石に気づいた者が出てきたのか、視線を明確に感じる。
ルーシアの我慢は既に限界で、手で押さえた上で足を交差させていないと漏らしてしまうという、なりふり構わない状態だった。
ゾクッとした。
微量ではあるが漏らしてしまった。
幸い下着に染みこむ量だったので、足には垂れて来ていない。
もう耐えられない。
祝いの言葉を述べる後輩の前で座り込んでしまう。
もう限界だ。座っていても全く落ち着きがない。
この様子が、貧血ではないことを証明してしまう。
もう自分でもどうにも出来ず、今にも溢れ出しそうな尿意に耐えていた。
会場が騒がしい。
姫であるルーシアが突如座り込んでしまったのだから、それも当然である。
だがルーシアはもう、立ちあがる事も出来なかった。
次の瞬間、ルーシアは脇に手を入れられ、無理やり立たされた。
思ってもいなかった事に驚いた。
理解したときには、破滅の鐘が鳴っていた。
堪えていた尿が勢い良く噴き出しルーシアの下着を暖かく濡らしていく。
顔を覆い、その場にへたりこむが尿は止まらない。
とたんに辺りがざわつき出し好奇の視線が突き刺さる。
涙は見せたく無かったが、それ以上に恥ずかしい体液を見られてしまっている。
ルーシアは顔を隠し鳴咽しながら、心の中で叫んでいた。
――見ないで
――見ないでよ
――お願いだから
様々な声が聞こえて来て、私は耐え切れず泣きながら声を上げていた。
"見ないでー!!!”
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