空里

妹の空里はパリュールで生まれた。

家で、ちっちゃな可愛いベビーベッドに寝てる空里は、起きている時は、いつも、わたしの顔をじーっと見て笑っている。


わたしは

「いないいないばあーっ」

ってやる。

そしたら、めっちゃ笑って喜んでいる。


空里はママとお風呂に入っている時に、わたしは、ちっちゃなひしゃくみたいなやつで、お湯をちょっとすくって、空里にかける。そしたら、めっちゃ気持ち良さそうにして笑いかえしている。


ある日

「ちょっと近くにお買い物に行ってくるから、空里を見ててね~!すぐ帰ってくるね」

って言って、ママは出かけて行った。

わたしは、ベビーベッドの横にくっついて、じーっと空里を見ていた。

空里も笑って、じーっとわたしを見ている。


わたしは

「へたなことをして動かないようにしよう!」

と思って、じっとしていた。

空里も、じーっと笑って、わたしを見ている。


しばらくして、玄関のほうから、ピューッて何か飛んできた。

光っていたから

「あーっ!あの女の子だーっ!」

って思った。


光ってるちっちゃな可愛いUFOは、ベビーベッドの横のタンスの上に着地した。

ドアをウィーンと開けて、UFOの中から、あの可愛い女の子出てきた。

「こんにちは~」

って言うから、わたしも

「こんにちは~」

って返した。


「可愛いですね」

「そうなんです」

「妹さんですか?」

「ハイ!妹の空里です!」


「空里ちゃん、こんにちは~」

って女の子は、空里に手をふった。

空里も笑って女の子に手をふりかえしている。


女の子は、ちっちゃな羽でパタパタと飛んで、ベビーベッドの中で寝てる空里の、すぐそばにちょこんと着地した。

空里は、女の子に向かって手をのばしている。

女の子は空里の手を優しくつかんで、2人で握手している。


カチャッて玄関のドアの開く音、聞こえてきた。

「ただいま~」

「あっ!ママ帰ってきた」


「じゃあ、またね~」

「またね~、バイバイ~!...あっ!そうだ!お名前は?」

「えっ?わたし?」

「そうだよ~」

「ユナだよ~」

「ユナちゃん...」


空里も、ユナちゃんに手をふっている。


ユナちゃんを乗せたUFOは、ママと入れ違いに、ピューッと輝きながら、飛んで行った。


「ただいま!誰か来なかった~?」

ってママに聞かれた。


「えっ?べつに誰も来なかったよ~」

「あっ、そう」

「ユナちゃんっていう、お友達なら来たけど、来てすぐ帰っちゃったよ」

「お友達、来たんだね~」

「うん」

「良かったね~」

「うん、良かった...」

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